県私学教育功労者に選ばれ、幼稚園で子どもの教育に励む 渡井 和佳さん 六ツ川在住 71歳
子どもが楽しく遊べる場を
○…今年度、県で6人だけ選ばれた名誉ある表彰に「私にはもったいない」というが、六ツ川の「マヤ幼稚園」に携わり40年以上。1954年から続く園がこれまで送り出してきた子どもは約7千人。積み上げてきた歴史と業界団体の役員を長く務めて得られた信頼が高く評価された。
○…鎌倉時代から続く定光(じょうこう)寺に生まれる。子どものころは世界で活躍する実業家にあこがれ、外交官や海外の仕事を夢見た。大学卒業後は自動車販売会社で輸出の仕事に。30歳を前にしたころ、寺の住職と幼稚園長を務めていた父が病に倒れ、「兄がやるものだと思っていた」という寺と園の仕事を引き受ける。寺は檀家との付き合い、園は教員、保護者とのコミュニケーションが求められる。「アドバイスを受けながら、白紙の状況から勉強した」と振り返る。79年から園長に就任。「楽しく過ごせないと幼稚園ではない」が持論。何よりも子どもを楽しく遊ばせることが大切だという。「次の日にまた来たいと思える場所でありたい」と願う。
○…30年以上前、帰宅後の園児が車にはねられ、命を落とす悲しい事故があった。以来、子どもの安全を願い、園で年間5回の交通安全指導の時間を設けている。指導用の信号機を購入し、横断歩道の渡り方などを教えている。「繰り返し教えると、子どもの動きが変わってくる」。力を込めてそう話す表情から、子どもを守り、育てていくという強い意志が感じられる。
○…学生時代に励んでいた弓道を還暦を迎えて再開した。「弓道は礼に始まり、礼に終わる。心が落ち着く」と週2回の練習を欠かさない。平日は幼稚園、土日は寺の仕事が忙しいが、3人の息子のうち、長男は寺の副住職、次男は園の副園長として父を支える。「元気な園児が遠くから『園長先生』と声をかけてくれるのが何より嬉しい」。子どもに負けないような輝く笑顔を見せ、これからも楽しく遊べる場を提供していく。
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