南警察署(中野良則署長)は、2013年に南署管内で発生した振り込め詐欺の認知件数が、12年の10倍以上の22件に急増したと発表した。1件あたりの被害金額も増加しており、同署では注意を呼びかける。
昨年、南区で発生した振り込め詐欺は22件(未遂1件含む)。2件だった2012年から20件増加し、被害総額は約9270万円(12年350万円)。これは、08年(62件、1億900万円)に次ぐ過去2番目の多さで、1件あたりの平均被害額は過去最高の440万円に上る。
内訳は、親族になりすますオレオレ詐欺が15件、使った覚えのない有料サイトなどの利用料を請求する架空請求が4件、役所の職員などを装い現金をうばう還付金詐欺が2件。息子や孫を語り「カバンを紛失した」というものが最も多く「中に会社の小切手があり、現金を用意しないクビになる」といった口実で1千万円以上の被害が発生した例もある。そのほか「株で失敗」「医療費の還付がある」「女性を妊娠させた」など多岐に渡り、被害者のほとんどが65歳以上の女性だ。
「前兆電話」が多発
県内の昨年の振り込め詐欺の認知件数は1340件(12年515件)、被害総額は約41億円(12年約13・5億円)で過去最高を更新した。南署生活安全課はこの原因に、詐欺と思われる不審電話の絶対数増加を指摘。同課の杉山一夫課長は「12年は詐欺の『前兆電話』の情報が少なかったが、13年は住民から頻繁に連絡が届いた。犯人が名簿などを使用して集中的に攻撃しているのでは」と話す。また、金銭の受け渡し方法が、利用限度額が設定されているATMからの振り込み型から、上限のない手渡し型に変化し、被害の高額化につながっているとしている。
同課では、こうした前兆電話があった際、すぐに区内の全金融機関へ連絡。窓口対応を注意するように促しているほか、電話が入った周辺地域に広報車やヘリコプターで、不審電話への注意をアナウンスするなどし、対応している。
しかし、杉山課長は「金融機関の職員が詐欺を疑って声をかけても『身内の恥』をさらしたくないという思いからか(来店者が)嘘をついて現金を引き出してしまうケースもある」と話す。同課は「被害の防止には犯行の手口や実例を一人ひとりが知ることも重要」とし、自治会や老人会などの要請で開催している防犯教室に地域住民が積極的に参加することを呼びかける。
区内では、今年すでに詐欺被害が2件発生(2月3日時点)。金額はともに100万円を超えており、南署の中野署長は「とても卑劣な犯罪。息子や孫を語る不審な連絡があった場合は、まず警察に連絡してほしい」と訴え、地域一丸となって詐欺被害を防ぐ取り組みを進めていく。
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