六ツ川四丁目町内会(池田守一会長、650世帯)が横浜市内で初めて、福祉施設を併設した町内会館を建設した。土地、建物の費用を捻出しようと、建物の一部を社会福祉法人に貸し出す手法を用いた。会館の建設、改築費に悩む自治会・町内会は多く、同町内会の新しい試みが注目される。
建て替え前の町内会館は土地所有者から貸し出しを受け、1967年に建設された。建設から40年以上経過したことや所有者の都合で現在の場所が使えなくなることから、新会館建設を5年前から検討していた。
これまでと同規模の会館を作るには、土地取得費を含めて約4千万円が必要。しかし、町内会が積み立てていた建設資金は約1千万円しかなかった。池田会長は「町内会費の値上げなど、新たな負担を求めたくなかった」と安価に土地を入手できる方法を模索。町内にあった貯水池を所有する不動産業者に状況を説明した上で交渉し、土地を提供してもらえることになった。
条件付きで可能に
次にネックになったのが建設費。手持ち資金ではとても足りず、建物の一部を貸し出し、家賃収入を得ることを考えた。建物部分に補助を行う市は当初、「前例がない」と貸し出しに難色を示したが、「建物の半分以上は貸さない」などの条件を付けることで可能になった。そこで、池田会長らは、町内で特別養護老人ホーム「香樹の里」を運営する社会福祉法人「楠会」に相談。同法人が建物1階部分(約110平方メートル)で高齢者向けのデイサービスや介護サービスを行うことになり、町内会は家賃収入を得られることになったという。
新たな利用者期待
同町内会の武藤博之副会長は「高齢者が増える中、福祉施設が会館のそばにあるのは心強い」という。「香樹の里」の田澤勝幸施設長は「身近な施設として、気軽に相談に訪れてほしい」と新たな需要の掘り起こしにつながることを期待する。
町内会館の2階部分(約166平方メートル)には、大小の会議室や厨房が設けられ、これまでの会館を利用していた町内のカラオケや踊りの団体が使用する見込み。
3月16日に落成式が行われ、関係者が集まる中、池田会長は「誰にも誇れる会館ができた」と試行錯誤の末に完成した町内の新拠点に自信を見せた。
南区役所によると、区内で会館を所有する自治会・町内会は約6割。建て替え資金や土地探しに関する相談が多く、区の担当者は「今後、貸し出しを考える町内会が出てくるかも」と話す。
新しい町内会館、香樹の里の利用はいずれも4月から始まる予定。
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