市立中村小学校(中川和幸校長)の西棟校舎で建築が進められていたスロープがこのほど、完成した。スロープは併設する市立中村特別支援学校(福田有志校長)の子どもが、津波などの災害時、安全性が高い上階に避難するためのもの。災害時の避難路として使用するほか、両校の交流を一層深めるものとして期待される。
中村小と同じ敷地内に併設されている特別支援学校には、手足に障害がある子どもなどが通う。スロープの設置は2013年度に策定された市教育振興基本計画の重点施策である「特別なニーズに対応した教育の推進」を具体化し、大規模地震による津波被害などから、子どもたちの安全を確保するもの。東日本大震災を受け、保護者などから安全性の高い屋上などに避難する経路設置の要望が高まっていた。
特別支援学校の子どもたちは車いすを使用しているため、学校にはエレベーターが設置されているが、災害時は停電や故障などで使用できない可能性がある。西棟校舎は3階建てで、階段を利用すると複数の職員が一人ずつ持ち上げて運ばなければならず、全児童・生徒69人の避難が完了するまでには、約1時間を要してしまう。
「交流深まる」と期待も
避難をしやすくするため、昨年5月から中村小の西棟校舎の各階に、上階へつながるスロープを設置する工事を開始。今年4月に幅約1・8m、1階から3階までの総距離約180mのスロープが完成した。スロープは災害時の避難路としての役割のほか、特別支援学校の子どもが上階への移動が簡単になったことで、2階にある中村小の理科室、3階の音楽室などを両校の子どもが一緒に利用しやすいという利点もある。
中村小で5月16日に行われたスロープ完成を祝う「開通式」で、中村小の中川校長は「完成により、両校が交流する機会も一層増えるのでは」と期待した。
特別支援学校ではスロープ完成後、人が乗っていない約70台の車いすを3階まで運ぶ訓練を実施。約6分で全台を移動することができた。福田校長は「災害時をはじめ、さまざまな場面で利用できることが嬉しい」と手応えを口にする。
両校は6月、津波を想定した合同防災訓練を行い、スロープを使った避難を実践する予定。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|