市立平楽中学校2年の林(りん)俐娜(りな)さんが7月30日に行われた「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」の中学校の部で教育長賞を受賞した。中国籍の林さんが、同校が長年取り組む国際教育や自らの体験を基に、国籍や見た目の「違い」を受け入れ、認め合うことが平和につながると訴えた内容だ。
同コンテストは市教育委員会などが毎年行うもの。中学生の部には各区の審査会を通過した18人が参加。「国際平和のために、今自分にできること」をテーマにスピーチした。
林さんは7月初旬に区の審査会を通過してからは、毎日2時間近くスピーチの練習に励んだ。題名は「『違い』が受けとめられる世界を」。国際教育の授業や自らの体験を通して自身の心の中に残った「差別」について述べた。
中国籍も「母国は日本」
両親が中国出身。自らも中国籍だが、日本で生まれ育ち、中国語は話せない。スピーチの中で「文化も習慣も何もかも日本が染みついていて、自分の母国も日本だと思っている」と語った。知人らは普通に接してくれるが、周囲から「中国人はいつもこうだ」などという言葉を耳にした時は「平気なふりをしていたけど、本当は消えてしまいたいと思った」と、国籍が異なるだけで、存在を否定するような言動に憤りを感じていた。「人間に違いはあって当然。それぞれの良さがあり、学び合える」とした上で「違いを理解することは、どんな大金をつぎ込んでも得られない、価値のある大きな平和」と訴えた。最後に「世界中の人たちが『違い』を否定するのではなく、受け入れ、素晴らしいと思えるようにしていこう」と結んだ。
外国人の気持ち代弁
市長賞(2人)に次ぐ、教育長賞の受賞に「自分のような外国籍の人の気持ちを代弁していけたらいいなと思っている」という。日本と中国の関係については「お互いが良い関係を作る努力をしてほしい」と願う。
学校では「マンガイラスト部」に所属。将来は「海外でボランティア活動をしてみたい」と夢を語った。
今後は、ほかのコンテスト参加者とともに、よこはま子ども国際平和プログラムの「子ども実行委員」として、平和募金などの活動に取り組む。
継続的な国際教育
外国籍や外国に関係する生徒が多い平楽中。現在は中国籍やフィリピン籍の生徒がおり、保護者のどちらかが外国籍などの生徒を含めると40人を超える。
1999年から国際平和の意識を高める学習を全学年で体系的に行っている。今年も5月から7月にかけて、ボランティア活動者などの話を聞く授業を16時間実施した。そこで感じたことを校内のスピーチコンテストで発表。代表者が区の審査会に参加している。
山義明校長は「毎年、系統立てて国際平和について学んでおり、生徒に浸透していると実感できる」という。「今後も国際教育を通し、広い視野に立ち、ともに生きようとする生徒を育てていきたい」と抱負を述べた。
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