東日本大震災から4年が経過する中、南区が進める災害時要援護者の名簿作りが自治会町内会の約8割で行われていることが分かった。しかし、名簿の更新が進んでいなかったり、防災訓練で活用されていないなど、課題も多く、区は研修会などを通して周知を図る。
大地震などの際、自力での避難が困難な高齢者や障害者を災害から守るため、南区は2008年から災害時要援護者支援事業を始めた。自治会町内会単位で援護が必要な人を把握し、名簿を作成。災害発生時の安否確認や避難支援に役立ててもらうねらいだ。
市は福祉システムで把握する要介護高齢者や障害者などを対象にした要援護者名簿を作成しているが、この対象者以外に自力での移動が難しい人や避難に不安を感じる人もいる。そのため、区は自治会が名簿を作るために、住民に援護の必要性を聞き、希望者を名簿に登録する「手上げ方式」を推奨している。
区高齢・障害支援課によると、14年12月末時点で208自治会のうち、77%にあたる158自治会が名簿を作成。ほとんどが福祉システムの名簿から同意を得られた人と手上げ方式で名乗り出た人を組み合わせる方法で作っている。
登録者を見守り
別所町友会(730世帯)は、名簿の必要性と災害時の自助・共助の重要性を訴え続けた結果、現在は約80人が名簿に登録されている。防災活動を推進する「みまもりたい」を結成し、27人の”隊員”が1人で数人の名簿登録者を担当する制度を取り入れる。災害時は各隊員が担当の登録者を支援することになっている。防災訓練では、隊員が登録者に声をかけて避難する練習をしている。防災部長の真田雅幸さんは「訓練の参加者が増えている」と話し、名簿作りが防災意識向上につながっているという。
「訓練で使って」
3月4日には、区が自治会向けの名簿作りに関する研修会を区役所で行い、約100人が参加。参加者からは「自治会役員が変わってしまい、名簿が更新されていない」「活用法を教えてほしい」との意見が出るなど、名簿を作ったままで、その後の取り組みが進んでいない自治会が多い。同課は「説明会や研修会を行い、良い事例を紹介している。防災訓練でも活用してほしい」と話す。
名簿記載の個人情報を管理する不安や登録の同意を得ることへの負担感などを理由に名簿作りを行わない自治会もある。同課は「災害時の初期対応のためにも、名簿の役割は大きい」とし、自治会・町内会長へ個別に連絡するなどして、理解を求めている。
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