「南区邦楽協会」の会長で伝統音楽の普及に尽力する 原田 美智子さん 六ツ川在住 70歳
邦楽で感じる心の輪
○…約20人のメンバーで2002年に設立させた同会。当初から副会長を務め、5年後に会長に就任した。年に一度の定期演奏会を4月12日に控え、「当日のお客さんの入りが気になる」と心配そうに本音を口にする。「耳にする音楽のジャンルが増え、伝統の邦楽を聴く機会が少なくなっている。まとまりある会の演奏を楽しんでもらえたら」と心から願う。
○…静岡県出身。学校の先生だった父の勧めもあり、小学生から琴を習った。「親戚がやっていたので仕方なく始めた。外で遊ぶことの方が好きだった」と笑う。絵を描くことにも興味があり、「風景画や花をよく描いていた」という中学生のころ、偶然見に行った琴の演奏会で日本を代表する作曲家、宮城道雄の「春の海」を聴いた。美しい音色に胸が躍り、次第に琴と過ごす時間が増えていく。「毎日少しでも触ることが大切」と話す地道な稽古で少しずつ才能を開花させた。
○…結婚を機に21歳で横浜へ。鎌倉にある団体で琴を習いながら、20代で取った資格を活かして近所の人に教え始めた。「爪の角度など、ちょっとしたことで音の余韻が変わる。奥が深いところが良い」とその魅力を語る。仲間と一緒に協会を立ち上げた後は、多くの人と一緒に演奏する面白さを知った。「個性が強い人もいる。音のバランスを取ることは難しいが、次第に調和が取れていく」と嬉しそうに微笑む。
○…「ひょっこり帰ってくる」という子どもは3人で孫が6人。現在は六ツ川で夫と2人で暮らす。健康のために20年以上続けているのがウォーキング。「今では歩かないと気持ちが悪い」と毎日5千歩以上、地元周辺を歩く。各地にいる琴仲間からは演奏会の出演依頼が頻繁に届く。「宝物」と表現する友人たちとの舞台は「輪を感じることができる」とかけがえのない場所。「素晴らしい音楽を次世代に受け継ぎたい」と静かに心に誓う。
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