5月に居合道の十段になった 渡邊 義次さん 大岡在住 69歳
父を追い、真剣に突き進む
○…全日本居合道連盟の最高段位を得た。刀を振り抜く鋭さや流れるような自然な動作といった技術もさることながら、居合道への貢献度なども加味されての評価に「大きな責任を感じる。十段の名に恥じないよう、稽古に励みたい」と父が使っていた真剣を手に引き締まった表情を見せる。
〇…父がしていた居合道を始めたのは自身が31歳の時。最初は日本刀の扱いに苦労した。それでも、父が開いた道場で一緒に始めた仲間と切磋琢磨し、徐々に成長。毎日、仕事を終えてから稽古に励んだ。後に十段となる父からは「足腰をしっかり使え」とよく指導されたという。27年前、父が他界。道場を受け継ぎ、今でも10人以上の生徒に指導を続ける。「稽古量を増やし、筋肉が自然と動くようにならなければ」。集中して稽古に取り組めるのは1時間が限度。真剣を使い、神経を極限まで研ぎ澄ませる。「居合道によって集中力が高まった」。少しのことでは動じない強靭な精神力があるからこそ、十段に登り詰められた。
〇…大岡の山の中で生まれ育つ。土地や田畑を多く持っていた家で、祖父が私財を投じて作ったとされる南小学校そばの橋は「与七橋」とその名が残る。父の不動産管理業を手伝い、今でも周辺にマンションなどを持つ。現在は妻と2人で暮らす。2女・1男の3人の子が居合道をしないことを残念がるが、次女はクラリネット奏者として日本音楽コンクールで3位に入ったほどの実力者。「子どもたちは『よく居合道を継いでやっているね』と思っているはず」と笑顔。
〇…毎日、朝のラジオ体操やウォーキングを欠かさない。昨年は腕の痛みに悩まされ、満足に刀が振れない時期があったが、今は回復。「40年近く居合道に打ち込んできたから健康でいられた」と感謝の気持ちを忘れない。父から継いだ道場を守りながら、武道を伝承していくため、日々、真剣勝負を続ける。
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