「民謡民舞県第一連合大会」で優勝した 大橋 幸恵さん 若宮町在住 28歳
喜怒哀楽を歌に重ねる
○…7月、民謡愛好家約300人が参加した大会で総合優勝。出場最年少ながら、見た目からは想像できない力強い歌声で頂点に立った。「歌になるとスイッチが切り替わる」と微笑む。大会直前は民謡を始めるきっかけを与えてくれた父・敏男さんにマンツーマン指導を受けたが「ケンカしながらやっていた」と苦笑い。それでも「賞に選ばれたということは、歌が聴いている方に伝わった証拠」と自信に満ちた表情で語る。
○…民謡を歌う両親の下で育ったが、小学生のころは「正直、つまらないものだと思った」と関心を示さなかった。カラオケで浜崎あゆみの曲を上手に歌いこなしていた少女が民謡に初挑戦したのが六ツ川高校(現・横浜国際高校)1年生の時。父の強い勧めで始めると、労働歌として各地方に根付く民謡の奥深さを知った。「今まで本当の民謡を知らなかった」。以来、父の尺八、母の三味線に合わせて家で練習を重ね、独特の節回しを体に覚えさせた。2008年からは川崎市内の団体に入り、練習を重ねる。
○…「喜びや悲しみ、人生経験が反映されるのが民謡」と断言。始めた当初は型通りに歌うことを意識していたが、次第に感情を込めたり、強弱を付けるようになった。「どうしたら伝わるのか―」。歌詞の意味や歌の歴史を伝えようと、人生経験の少なさを「きっと、歌詞に出てくる人はこう思ったのだろう」という想像力で補い、伸びのある力強い歌声を手にした。
○…子どものころから書道や珠算を習い、おっとりとした性格。日中は東京の企業に勤務する会社員。大会優勝を会社の同僚も喜んでくれたという。60代でも若いとされる民謡の世界。歌い継がれてきたものを絶やしてはいけないという使命感がある。「若い私が歌っていき、伝統、文化をつなげていきたい。ぜひ、民謡を知ってほしい」。優しい口調の中に民謡を守る決意と覚悟が感じられた。
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