市が優れた技能職者に称号を与える「横浜マイスター」に南区から大岡の印章彫刻士・國峯伸之さん(47)と六ツ川の和竿師・早坂良行さん(64)の2人が選定されたことが8月17日に発表された。國峯さんは、3年前に他界した父・正美さんも1996年に選ばれており、初の”親子マイスター”となった。今回の2人が加わり、マイスター54人(故人含む)のうち、南区在住者が市内最多の12人(同)となった。
横浜マイスターは96年から始まった制度。市が優れた技能職者を「専門技術を身につけた職人」として選定し、技術の普及、継承を行っていくもの。これまでにクリーニング師や美容師、木工塗装士、調理師など49人が選ばれている。今年度は業界団体などの推薦を受けた國峯さんと早坂さんを含め5人が選ばれた。
父に続いた國峯さん
國峯さんは、横浜商業高校卒業後すぐに父・正美さんが営むはんこ店「国峰印房」に勤務。「父を見て、もの作りに携わりたいと思った」と中学生の時に家業を継ぐことを決意していたという。印鑑の中に文字を並べるデザイン力などを見て学び、父の仕事を支えながら自らの技術を高めた。
「10年で一人前」と言われる世界で20代のころから仕事の正確性と素早さが評価されていた。15年前からは、日本唯一のはんこの訓練校「県印章高等職業訓練校」で指導員を務めるなど、後進の育成にも取り組む。
第1期のマイスターで厚労相から”現代の名工”として表彰された父が12年に他界。父の時代の常連客からは「息子さんなら任せられる」と仕事の依頼が続いていることが多いという。
師匠でもあった父と同じ称号を得たことに「マイスターは目標だった。父から教わったことを多くの人に伝えていきたい」と話し、「今後も値段以上の価値を感じてもらえるようなはんこを作りたい」と目標を掲げている。
竿にかける早坂さん
4歳から横浜に住む早坂さんは、中学時代に横浜港でクロダイを釣ることに憧れを抱き、竿を作り始める。
19歳のころ、横浜駅近くの釣り具店で後の師匠と出会うと、その店の社員として働きながら和竿師を目指して修業に励む。
その後、「自分が好きなことをやるだけやってみたい」と決心し、26歳で保土ケ谷区に「汐よし」を開業。実用性に優れた使いやすい竿を追求するため、休日は自ら海に繰り出し、作った竿で釣りをしながら製品の改良を重ねていった。
40歳で場所を六ツ川に移すと「進化する実戦竿」をテーマに独自の装飾を施しながら、時代に合った竿作りに尽力。使いやすく長持ちするという早坂さんの竿の噂を聞きつけ、地方から訪れる客も多いという。また、培った技術や経験を次世代に伝えようと、91年からは横浜竿の製作教室を開き、これまで150人以上が卒業している。
マイスター認定を受け、早坂さんは、「選んでいただいたことを機に、今後さらに身を引き締めて竿作りに励みたい」と語る。
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