▼台風18号に伴う豪雨は、鬼怒川の堤防決壊で茨城県などに大きな被害を与えた。横浜市でも9月9日午後に土砂災害警戒情報が出たのを受け、崖地周辺の約1800世帯、4100人に避難勧告を出した。南区では291世帯、599人が対象だった。区内で小規模な崖崩れがあったが、人や建物に被害はなく、勧告は発令から約26時間後の10日午後に解除された。
▼市は昨年10月の台風による大雨が原因の崖崩れで死者2人が出たことを受け、高さやこう配などの数値から大雨で人命に被害が出る恐れのある崖地を指定。今年6月には地質の専門家の調査を踏まえて見直しを行い、52カ所を選定。南区は市内最多の17カ所が対象となった。対象崖地周辺の住民に土砂災害警戒情報の発表と同時に避難勧告を発令する仕組みを作った。今回の避難勧告は、この仕組みが初めて適用されたものだった。南区役所は避難勧告を区ホームページなどで知らせたほか、事前に登録された世帯へFAXを送付。避難所として4カ所を開設し、5人が避難した。
▼これまで、区役所が周知していたこともあり、多くの住民は避難勧告が出る仕組みを知っていた。しかし、今回、勧告が発令されたことに気が付かなかった人もいた。FAX登録者以外は、市の防災メールやホームページを確認するか、テレビで流れるテロップをチェックしない限り、情報は入ってこない。区は今回、「雨音でスピーカーの音が聞こえないことを避けるため」という理由で広報車での呼びかけを行わなかった。一刻を争う避難勧告を知らせる手段は少しでも多い方が良い。電話回線の不通や停電でFAXやインターネットが使えないことも考えられる。FAX以外に直接的に勧告を周知する方法が必要なのではないか。
▼区民の意識を高める必要もある。災害時の基本は「自助」。台風や大雨はある程度、予測ができる。あらゆる事態に備え、情報収集方法を多く持つことは大切だ。今回は幸いにも人的被害はなかったが、昨年、犠牲者が出たことを忘れてはいけない。南区は崖地が多く、対象地域以外も油断できない。区が情報の発信力を強めるのと同時に、区民もそれを受け取る努力を続け、防災・減災のまちづくりが進むことを願う。
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