東日本大震災から5年となる3月10日と11日、南区の病院や診療所、薬局などの医療機関で相次ぎ災害を想定した訓練が行われた。震災後、災害時に医師らが集まる拠点が変更され、医療機関と行政との通信手段の強化などが図られた。新たな災害時医療体制の構築と「顔が見える関係作り」が進められている。
災害拠点病院に指定される浦舟町の市大センター病院で10日、同院の医師など約150人が参加する災害対策訓練が行われた。
市内で震度6弱の揺れが観測されたと想定。ボランティアの学生らが患者役を務め、負傷者の重症度などを判断するトリアージで医師らが患者の対処にあたった。同院の森村尚登災害対策委員長は、「区役所や地域の自治会・町内会、医師会などと連携した訓練が近い将来に必要」と話した。
11日には、区と南区医師会、歯科医師会、薬剤師会が協力し、災害時に診療可能な診療所や開局中の薬局を示す旗の掲出訓練が区内の医療機関で行われた。
市は災害後に対応可能な災害拠点病院は赤色、災害時救急病院と診療所、歯科医院は黄色で「診療中」、薬局は「開局中」の旗を掲げる決まりを設けている。合同訓練は昨年9月に続いて2回目。南区医師会の池田嘉宏会長は、「(継続することで)住民に旗の意味を知ってもらえたら」と期待した。
無線配備で通信強化
震災後、「市防災計画」の見直しで災害時における医療体制は変化した。南区では災害発生後、医師らが宿町の南区休日急患診療所に集まり負傷した住民らの診療にあたることや「医療救護隊」が編成されて地域防災拠点を巡回診療することなどが新たに決められた。
また、災害対策本部となる区役所と災害拠点病院の市大センター病院などに衛星携帯電話や無線を配備。災害で電話が不通になったことを想定した行政と医療機関が連携して行う通信訓練が定期的に実施されている。池田会長は、「顔が見える関係作りが進んでいる」と新しい体制の成果を強調。今後は「薬品などの物品の循環備蓄を維持していく体制作り」を目標に掲げ、さらなる災害時医療の強化を進めていく。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|