銭湯業者による市浴場協同組合の南・港南支部長を務める 福田 勇さん 井土ヶ谷上町在住 51歳
まちの社交場、清潔に守る
○…今春から銭湯業者の地域代表になった。最盛期には50軒以上あった南区内の銭湯も現在は9軒に減った。この数年は減少のペースが速まっている。県内銭湯で10月10日の「銭湯の日」に合わせ、紀州産の柑橘、じゃばらを湯に入れる企画を行う。「ゆっくりとくつろいでほしい」と優しい笑顔で呼びかける。
○…井土ヶ谷で60年以上続く「くさつ」の3代目。子どものころから、まちの社交場としての役割を果たす銭湯を目の当たりにしてきた。小学生の時は、店番を手伝い、夜にやってきた友達と一緒に入浴するのが楽しかった。「親から頼まれた掃除が嫌で『勉強するから』と言って断っていた」と笑う。大学卒業後から本格的に店に入る。20年前から経営を任された。設備が古くなりつつある中、「良い設備がないとスーパー銭湯に勝てない」と2004年、大規模なリニューアルを決断。遠赤外線を発生させるサウナを導入するなどして、客を呼び込んだ。
○…店で一番意識しているのは清潔さ。「近隣でなくなった店は掃除しないところが多かった」と断言。きれいな風呂場が客の信用を集められると信じ、午後11時の閉店後に3人が2時間かけて清掃。他店では汚れが目立つために暗くしがちな脱衣所をあえて明るくし、清潔さをアピール。祖父の時代から店を守る決意の表れだ。
○…趣味はゴルフ。今後は組合の仲間とのラウンドも増えるという。両親、妻、3人の子どもと銭湯の上の階で暮らす。大学4年の長男は自ら”4代目”を意識するが「外の世界を見て、それから手伝ってほしいね」と注文を付ける。後継者不足が顕著な業界では、嬉しい悩みにも見える。最近、客から「店を辞めないで」とよく言われる。「お年寄りにとって、お風呂にゆっくり漬かるのが一番の幸せだと思う」。訪れた人に元気と楽しみを与える社交場を清潔にしながら、これからも守り続ける。
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