南警察署管内で2016年に運転免許証を自主返納した65歳以上の高齢者が15年から約4割増加したことが分かった。昨年10月、港南区で発生した小学生が登校中に80代のドライバーにひかれて死亡した事故以降、増加の傾向が見られる。
16年に655人
南署管内で16年に運転免許証を自主返納した人は699人。15年の498人から201人増加した。返納者のうち、約94%の655人が65歳以上の高齢者。15年の471人から184人増加している(16年の数字はいずれも速報値)。
昨年10月、港南区で80代男性が運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、1年生が死亡する交通事故が発生した。その後、南署で11月に免許を返納した人は73人、12月は80人(いずれも速報値)と2カ月間で16年全体の2割以上を占めている。市内をはじめ、全国で相次ぐ重大事故の報道を受け、ドライバーの運転に対する危機意識が高まったことも要因と見られる。
身体機能低下を自覚
免許証の自主返納制度は加齢で身体機能や認知機能が低下し、運転に不安を感じた場合などに住所地を管轄する警察署や運転免許試験場で免許を返納できるもの。1998年から制度化された。
同署によると、高齢者の返納理由は「運転の必要がなくなった」というものが大半だが、「自己の身体機能の低下を自覚した」「家族や友人から返納を勧められた」というものもあるという。
運転免許を取得してから無事故を50年以上継続し、昨年、交通指導員として功労者表彰を受けた三春台在住の片平勝久さん(77)も、昨秋に免許を自主返納した。70歳を過ぎたころから返納を考えていたという片平さんは、運転中に交差点で車と接触しそうになったことがきっかけで返納に踏み切ったという。片平さんは、「(接触する)相手が人や自転車だったことなどを考え、事故が大きくなったら大変だと思った。自分の技術や衰えを自覚することが大事」と話す。
保有者1万8千人
南署管内の運転免許保有者数は10万9752人で、このうち65歳以上の保有者は約17%にあたる1万8685人(いずれも16年11月末時点)。同署は自治会や高齢者が集まる場所での交通安全教室などで自主返納に関する説明を行っている。
また、運転はしないが身分証として免許を手放せないという人向けに運転経歴証明書の作成を勧める。経歴証明書は身分証明として使えるほか、協賛企業・施設での優待もあり、同署で返納する人の約9割が作成しているという(免許有効期間内の返納と手数料、写真撮影が必要)。
同署交通課の志澤俊雄課長は、「車の運転に不安を感じたり、車の必要性を感じなくなったら返納を考え、家族からも助言してあげてほしい」と話す。
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