大岡在住の美容師で、南区内を中心に活動するボランティアサークル「大人の塗り絵クラブ」講師の原辰男さん(64)がこのほど、「第11回大人の塗り絵コンテスト」で「あじわいオリジナル賞」を受賞した。原さんの入賞は前年に続き2回目。参加者が急増した10回、11回コンテストでの連続入賞は唯一で、応募8千点以上の中の上位14点に選ばれた。
年に一度行われる「大人の塗り絵コンテスト」は河出書房新社が主催。「個人部門」と2人以上で応募する「グループ部門」があり、11回目のコンテストには過去最多8234点の応募があった。個人部門の入賞は原さんの作品を含め14点。
洋装原画を和装に
原さんは、茶色い髪と白いドレスが特徴の外国人少女が描かれたルノワール編「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」の原画をもとに、少女の輪郭を紙に写して原画とは異なる着物を描いた。着物は主に赤色で着色。髪は日本人女性のように束ねた結い髪を描き、黒髪に。原画の洋装とは一変、美しい和装の女性へと変化させた。
専門家が行う審査では、「秀逸なアイデア」「大胆なアレンジ」などの評価を受け、「あじわいオリジナル賞」を獲得。原さんは前年度の第10回コンテストで「びっくり!インパクト賞」を受賞しており、2年連続での入賞となった。
大岡で美容院を営む原さんは「原画の少女を見て、美容師として『もっときれいにしてあげたい』と思った」という。美容師の”本能”が審査員を驚かす大胆なアイデアを生み出した。
「生きがい」を創出
原さんは約8年前、書店にあった「大人の塗り絵」を購入して自己流で技術を高めた。2010年のコンテストで自身の作品が入選。その後は都内で行われた専門教室に通って腕を磨き、14年にインストラクター資格を取得。同年、ボランティアサークル「大人の塗り絵クラブ」の活動を大岡地区センターでスタートさせた。現在は別所コミュニティハウス、南センターなどで約70人を指導する。
コンテストには、指導する生徒7人も作品を応募。全員が一次選考を通過し、塗り絵を始めて2年の宮田頼子さん=永田東在住=が入選した。宮田さんは「仕上がった時の感動がある。みなさんと会話することも楽しい」と塗り絵が趣味の幅を広げてくれたという。
「大人の塗り絵」は手先を動かすことでの脳の活性化や集中力アップに効果があるとされ、近年、テレビ番組など複数のメディアが注目。コンテストへの参加者も約5千点だった14年度の第9回大会から、2年間で約3千点急増した。認知症予防や、趣味の幅を広げたいというシニア世代を中心にブームとなっている。
原さんは「教室に集まってみんなで会話するコミュニケーションも生まれている」と話し、今後も塗り絵を通した人とのつながりや生きがいを創出したいという。原さんの作品をはじめ、入賞・入選作品は3月18日から兵庫県で、4月1日からは渋谷区「Bunkamuraギャラリー」の展覧会で一般公開される。
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