今月11日午後に発生した東日本大震災では、横浜市内でも交通機関等の乱れから帰宅困難に陥る人が多く見られた。そんな中、6年前から「帰宅難民防災マップ」を作成してきた保土ケ谷区の自治会に、話しを聞いた。
大規模災害を想定し、自宅まで歩いて帰宅する「防災ウォーク」という訓練を3年ごとに継続実施してきた「くぬぎ台団地自治会」(鈴木方規会長)。訓練と並行して”横浜駅西口からくぬぎ台団地まで”という明確な発着地点を設定し、全長約8kmの帰宅コースの詳細な情報を記した「帰宅難民防災マップ」づくりにも早くから取組んできた。
同自治会では、先の大震災後に団地内の各世帯を対象に聞き取り調査などを行っている。この回答結果によると、全世帯住民の約2割程度が仕事や外出先で地震に遭遇。だが「当日は、やはりいつもより多くの時間を割いた人が多かったが(自分の知る範囲では)団地内では、ほとんどの人が帰宅できたのではないか」(鈴木会長)と話している。
地図は”心の拠り所”
災害時の帰宅に必要な「水」「食料」「安全」「正確な情報」を得るために立ち寄れる場所を細かく明記した同団地製作の『帰宅難民防災マップ』(写真右)。しかし、この地図を実際に取り出して活用したケースは確認されておらず、訓練時の記憶を頼りに歩くケースが大多数だったとみられる。またこの帰宅ルートと全く関係ない場所で被災した人からは「とにかく電車やバスを乗り継いで、マップに掲載されているエリアに辿り着きたかった」という声も聞かれ、土地勘のない場所から帰宅する際の”心の拠り所”として機能した側面もあったという。
一方、家族との安否確認をとりたくても携帯電話の回線が制限されたため、長蛇の列ができたのが『公衆電話』。鈴木会長は、前回訓練を行った3年前は地図ルート上に23ヵ所あった公衆電話が、現在では大幅に台数を減らしている点を指摘し「防災対策の一環として、行政も改めて設置を増やすべき」と主張。住民からも「テレホンカード」と情報収集用の「携帯ラジオ」が徒歩で帰宅する際、非常に役に立ったという意見が多かった事から、今後は自治会メンバーらに常に持ち歩くことを呼びかけると共に、地図内の公衆電話設置場所の情報更新などを早急に検討したい、としている。
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