保土ケ谷警察署(若林靖司署長)生活安全課の高橋一志警部補は、2014年4月から1年間、福島県警に特別出向していた。
これは東日本大震災の被災地を支援するために行われているもので、神奈川県警からは昨年13人が出向した。
高橋さんは、福島県田村市出身。震災で家族や友人が被災し、「復興のために何かできれば」と志願した。
配属されたのは、地元の田村署。中学卒業以来、約20年ぶりの帰還となった。「出向で戻ってきたよと話すと、笑顔でおかえりと迎えてくれた。地域の人が笑顔になるのを見て、それだけでも少しは役に立つことができたかな」と話し、昔と変わらない温かさが嬉しかったと振り返る。
復興まだまだ
復興支援係として働いた高橋さんは、市内に19カ所ある仮設住宅を巡回したり、住民の相談に応じたり、また管内の治安維持や津波被害の捜索を行った。住民と触れ合いながら、「自宅に帰れない人もいる。除染作業も進んでいない。地元の人には復興はまだまだという意識なのでは」と推測する。
また住民からは、一向に復興が進まない苛立ちをどこにぶつけていいのかわからない現実や、やるせない思いも強く感じたと話す。そんな地元の様子をみて、高橋さんは、「私たちが震災を忘れないこと、風化させないことが、被災者にとってなにより大事なのではと思った」と話す。
少しずつ前向きに
福島の場合、複雑な問題もあった。原発事故の影響で同じ町内でも、賠償金の対象エリアと対象外エリアに分かれ、昔はひとつだった住民の心がバラバラになってしまったと感じる場面もあった。家族を亡くした人とも会うことが多かった。「前を向くしかないんだという遺族の意思も感じられた。少しずつ前向きになってきたのかな」と、被災者を思う。
被災地を忘れず
この震災が、ふるさとを考えるきっかけになったという高橋さん。「お墓参りや孫の顔見せに帰る場所だったのが、大切な場所と気づき大事にしなくてはいけないと思った」と話す。このチャンスがなければ再会することがなかった地元の人とも多く出会えた。
「少しは地元に勇気が与えられたかな」と地元に思いをはせる。保土ケ谷では被災地を忘れずに仕事に取り組んでいく。
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