震災の教訓を活かそうと、生麦中学校と周辺の生麦・岸谷・寺尾の3小学校などが「罹(り)災者支援ネットワーク」を設立。近隣の法政女子高や横浜商科大、キリンビール横浜工場とも連携し、3月3日、初の訓練を実施した。
「罹災者ネットワーク」は、災害時に児童生徒の安否情報や、小中学校への地域住民・帰宅困難者の避難状況を共有することなどを目的に設立されたもの。昨年から実行委員会で検討を重ね、今回第1回目の対応訓練にいたった。
3・11が契機に
震災当日、東京横浜間をつなぐ国道1号線や15号線は帰宅困難者であふれた。市では、市立小中学校を地域防災拠点として指定しており、この日、区内では区からの要請で全31校が拠点として開放していた。
15号線沿いにあり、京急生麦駅からもほど近い生麦小学校もその一つ。約200人の帰宅困難者を受け入れた生麦小は、備蓄をほとんど使い果たしたという。
生麦中学校の関隆雄校長は、「生麦小がそんな状態になっていることに、遅くまで気がつかなかった」と振り返る。これまでは各校がそれぞれで行っていた防災拠点としての訓練。震災の教訓が連携への第一歩となった。
無線で情報共有
「こちら生麦中、罹災者支援対策本部。岸谷小の状況を――」
訓練は震災発生を想定し、各校や協力機関と無線で児童生徒の安否、避難住民・帰宅困難者の受け入れ人数などの情報を共有。備蓄品や人員の過不足を把握し、実際に徒歩で不足物資の配布や応援人員の派遣を行った。参加した学校関係者らは、「手作業でメモが大変」「状況は刻々と変わる。時系列でどれが終わったかなどを把握していく必要がある」などと課題も出し合った。
対策本部長で池谷戸自治会の杉浦節子会長は、「キリンは行政からの要請がないと立ち入れなくなることや、大学も避難所ではないことなど、(ネットワークを)やらなければわからなかった。今回の課題を踏まえ、今後も対応訓練を続けていきたい」と話した。
「連絡網整理を」
このネットワークのような災害時における取り組みは市内では初めてだという。
視察に訪れた山崎幹夫区長は「災害対策本部となる区で全31ヵ所の情報を全て把握するには限界もある。区内に9つある中学校ブロックでまとめるような連絡網を整理することも必要」との認識を示していた。
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