曹洞宗大本山總持寺参禅室長として禅の布教に尽力する 三村 法慧(ほうえ)さん 鶴見在住 42歳
サービス精神で布教
○…大本山總持寺の参禅室長兼布教師。5月11日に自身の法話やブログをまとめた著書『運を活きる』(さくら舎)を出版した。坐禅をアレンジして、足を組まずとも体を真っ直ぐにすればいつでもどこでもできる「一息の禅」をすすめるなど、禅を身近に感じさせる内容だ。出版のきっかけは自身が講師を務める坐禅会。新聞で取り上げられた記事が出版社の目にとまり、声がかかった。
○…坐禅会には毎年約6000人が足を運ぶ。仏教に興味を持った中学生、加齢に悩むキャビンアテンダントなど、さまざま。追求しているのは「オリジナリティ」。一般的に無言で行われる坐禅会に参加者と修行僧とのディスカッションを取り入れた。「参加者がなぜ訪れ、坐禅によって何が変わったのか。話し合うことで、禅の学びを深めることができる」。アイデアで人を呼び込む自身の仕事はある意味「サービス業」だと笑う。
○…山口県周南市出身。実家は工務店で、浄土真宗。仏教用語はテストで覚える単語でしかなかった。転機は20歳の時。突然大切な人を亡くした。「死にたくて、自分をもてあましていた」。救いを求めたのは、興味のなかったはずの宗教だった。本を読みあさり、運命を変える一冊に出会う。「原田祖岳老師の『人生の意味』。悲しみにも意味がある。光があるのだと知った」。一言、一言をかみしめるように語る。以後駒澤大学仏教学部禅学科に通いながら、福井県仏国寺で参禅を続け、27歳で出家した。
○…「お坊さんって偉そうに見えるかもしれないけど本当はそんなことない。お酒も好きだし」。ざっくばらんに話す。休みの日は法話のネタ探しも兼ね映画や演劇鑑賞にもでかける。「禅に救われた自分のように、悲しみを抱いている人に、禅という手立てがあることをこれからも広めていきたい」。独自のアイデアと親しみやすさで人々の禅の敷居を低くしていく。
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