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11人に1人が糖尿病の時代 「早めの対処で予防を」取材協力/済生会横浜市東部病院
国内の糖尿病患者は昨年現在、1067万人に上る。これは成人の11・2%にあたり、世界で6番目という数字だ。自分たちの生活習慣が密接にかかわり、悪化すると多くの合併症の可能性をもつ糖尿病。その実態や危険性などについて、市民講座などでも講演する済生会横浜市東部病院の比嘉眞理子医師に話を聞いた。
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糖尿病はいくつかの種類にわかれるが、血糖値を調節する働きのあるホルモン「インスリン」にかかわる問題がほとんど。患者は増加傾向にあるが、そもそもなぜ増えたのだろうか。要因はさまざまだが、「やはり生活習慣によるところが大きい」と比嘉氏は語る。
比嘉氏によれば、もともとアジア人はインスリンの分泌量が少ないのだという。食生活の欧米化により多量に油などを摂取することが増え、その分血糖値を調節するために体内のインスリンが出動する――このような繰り返しで分泌量が不足し、発症にいたるのだ。
比嘉氏は、「必ずしも発症するわけではない」と前置きした上で、「食生活の変化、現代社会での慢性的な運動不足が要因として大きく、加齢や遺伝的なものもある」と説明する。
血管の病気
糖尿病の症状は、口が渇く、尿が多い、急激に体重が減るなどだが、あまり出ない人もいる上、痛みなどもないため気づくと進行しているというケースが目立つ。実際、糖尿病を原因とする合併症として、人工透析は1番、失明は2番目に多く、脳梗塞は6割、心筋梗塞では約半数が起因する。「糖尿病は血管の病気と考えてもいい。大小にかかわらず、血管をつまらせる」という。
意識が大事
では、予防法はあるのだろうか。生活習慣の改善が最も有効となるが、比嘉氏は「早めの対処で予防は可能。そのために危ないという意識が大事」と訴える。
日本でも数年前から「メタボ」という言葉が認知されたが、受診者は患者数の約2割にとどまるのが現状だ。病気やケガを問わず、外来患者の約10人に1人が糖尿病患者という現在。鶴見区と神奈川区の人口約50万人に換算すると、およそ5万人という計算になる。
発症中の人はもちろん、中でも特に注意したいのは30代から40代。「気にはしているが、検診に来ずに気づくと発症している場合がある」と指摘する。比嘉氏は「糖尿病と聞くと、食事制限が厳しいというイメージだと思うが、それは進行してしまってから。早いうちに対処すれば苦しい制限にはならない」と話す。
忙しい日々の中、「自分は大丈夫」と思わないことが、予防や病気と上手に付き合うために重要なのかもしれない。
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