世界初、4千mの深海へ 鶴見中央・(株)鶴見精機
海洋観測装置トップシェア
気候変動のしくみなどを解明するのに不可欠と言われる海洋調査。地球規模で進むその研究を、陰で支える企業が鶴見にある。
株式会社鶴見精機は、海洋観測装置などの開発製造を手掛ける、従業員90人ほどの中小企業。同社の製品の中でも深海の水温や塩分変化を計る観測装置「XCTDシステム」は、世界100%のシェアを誇る。
「ディープニンジャ」
同社は昨年9月、独立行政法人海洋研究開発機構と共同で、深海4000mを無人調査できる観測機の開発に世界で初めて成功した。従来の装置が観測できるのは水深2000mで、さらなる深海調査へのニーズが高まっていたことから、同社は2007年から海洋研究開発機構と連携して開発に着手した。
最も苦労したのは、深海の圧力に耐える能力を持たせること。会社の敷地内にある高圧実験水槽を使って数えきれないほど実験を繰り返したという。試行錯誤を重ね、約5年の月日をかけて無人観測機「ディープニンジャ」を完成させた。
目立たないけれど誇り
現在は今年中の商用化を目指し、準備が進む。日本やアメリカなど20カ国以上が参加している海洋変動調査「アルゴ計画」への採用も視野に入れており、採用されれば世界中の海でディープニンジャが活躍することになる。開発に携わった雨池健一さんは、「私たちの仕事は、日本や世界の研究を陰で支えている。目立たないけれど、誇りを持っている」と胸を張った。
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