防犯指導員会長として地域の安全を守る 佐々木 一夫さん 下末吉在住 83歳
欠くことできない裏方役
○…防犯指導員は「陰の仕事」だと言う。「指導員って何をやってるのってよく聞かれる。地味な仕事だからね」と苦笑いする。住民ボランティアの防犯指導員は、地域の防犯活動には欠かせない存在。振込め詐欺などへの注意を呼びかけるキャンペーンなどを、警察や防犯協会と協力しながら中心メンバーとして実施。日常的に地域の犯罪情報を警察から聞き取り、地域住民への注意喚起なども行っている。
○…生まれも育ちも鶴見。祖父から続く機型製作所の代表として今も現役だ。第二次世界大戦を経験した子ども時代。学徒動員で軍需工場で働くこともあった。終戦後も学校に通いながら家業を支えていた。「自転車で納品に行ったり。働くことは楽しかったよ」と明るく振り返る。1991年から当時の地元町会長の勧めで防犯指導員に。25年間にわたって消防団員を務めあげた経験もあり、仕事のかたわら長年地域の安全を見守ってきた。
○…仕事には誇りを持っている。「自動車を始めありとあらゆる『型』を作ってきた。裏方だけれど、私たちの仕事がなければ、モノは作れない」。黒子であることを意識していることもあり、製作所には目立った看板は出していないという。「裏方」は防犯指導員にも通じる点。「だから指導員も続けているのかもね」
○…仕事も指導員もできる限り続けていくつもりだ。「仕事は死ぬまで定年だと思っている。町工場の宿命だよね。やれるうちが花」。必ず見返りがあるわけではないボランティアの防犯指導員の仕事は、頑張りすぎると続かないと語る。「気楽に、肩の力を抜いてやることが何事も長く続ける秘訣だと思う」と優しく説く。指導員の後継も育てていかなければならない。「少しでも多くの人に指導員の活動を知ってもらい、成り手を増やして犯罪が減っていったら」。謙虚に、そして決して力み過ぎずに。地道な裏方仕事はまだ続く。
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