東日本大震災では、一人暮らしの高齢者や障害者をはじめとした、自力での避難が困難とされる災害時要援護者の命が多く失われた。要援護者への避難支援は、減災を目ざす上では欠かせない取組となっている。
鶴見区はこうした要援護者支援策として、これまでは同意を得た対象者の個人情報を自治会に提供する同意方式をとっていたが、昨年4月時点で要援護者約1万1千人に対し、登録者は約4千4百人と4割に留まっていた。
これを引き上げようと、区は市の条例改正を機に昨年6月から情報共有方式を導入した。これは、要援護者に個人情報の提供を事前通知し、拒否の意思表示がなければ名簿を自治会に提供するもの。従来の同意方式と異なり、無回答者も名簿登録するため、より多くの要援護者を地域住民が把握することができる。モデル地域として、これまで見守りを実施してきた平安町を選定。まもなく市場地区9町会へと広がる予定だ。
日常と防災は一体
「日常さえしっかりしていれば、何かあった時も対応できる。見守り活動が原点」。平安町町会の河西英彦会長は、防災のまちづくりについてそう語る。同町は7年前から、民生委員らによる要援護者宅への定期訪問や、6人一組でお互いに見守り合う取組を行っている。「5年でやっと3割程度だった」という要援護者も、情報共有方式導入後は3倍となる203人まで登録が増加した。
「いいまちをつきつめると防災にたどり着いた。日常の安否確認と防災は繋がっている」。河西会長は隣近所の付き合いこそが重要と確信している。
今後は要援護者に限らず、健常者の見守りも重要としている。河西会長は「今は元気でも、来年にはどうなっているかわからない。いつも見ていると変化に気づくことができる」と見守りの輪を広げていく。
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