前例のない二度の最大震度7、その後も続く1500回超の余震など、甚大な被害をもたらした熊本地震。本紙では、横浜市から第一次派遣隊として、4月26日〜5月2日まで、熊本市で避難所運営の支援にあたった鶴見区危機管理・地域防災担当の川島正裕係長に、現地の様子や派遣で感じた課題などについて聞いた。今回第1回目を掲載する。(聞き手/本紙鶴見区版編集長・浜田貴也)
――まず今回の派遣の内容について。
「横浜市からの避難所支援第一陣は、35人が派遣されました。震度7の被害を受けた益城町の隣、熊本市東区。東区内には31の避難所があり、横浜市はそのうち12カ所を担当しました。
現地での仕事は、各避難所で昼夜問わず運営の手伝い。熊本市の防災計画では、避難所の開設と当初の運営を行政が行うことになっていたため、食事の手配や要援護者支援など多岐にわたりました」
――避難所の様子は。
「千差万別。車での避難者が多いところもあれば、避難所の中が多いところも。氏名などを把握するための避難者カードの記入がなく、人数がわからない場所もあった。
当初、横浜市の職員は、拠点となる施設で寝泊りして各避難所に行く予定でしたが、場所によっては『24時間帰らないでくれ』と言われたところもあった。
熊本はもともと大きな地震の想定が少なかった地域。皆さん台風や雨風対策への意識は高かったが、現地の人から返ってくるのは、『地震なんて』という言葉でした。
地震はあまり来ませんと言われていた地域だったというのも、避難所運営の差につながったのだと思う」
――熊本では自主避難者の把握が課題となっていた。余震への怖さや、ペット・子ども連れなどで避難所をさけるケースもあったようだが。
「現地では、避難所として指定されていないところ、公園などにテントが張ってあったり、夜になると駐車場で車中泊している人なども見受けられた。
ペットや子ども連れ世帯などについては、訓練に参加していれば大丈夫だが、日ごろからの顔の見える関係づくりが、こういうときに課題として浮き彫りになる。子育て世代や、ペット連れ世帯を呼ぶなど、訓練への参加を積極的に呼びかける必要がある。
鶴見では小学生や中学生の参加は増えているが、低学年から未就学児はまだまだ。マンネリすることもあるので、区としても人を呼ぶ工夫が必要だと思うが、マンネリでも参加することに意義があると思ってほしい。
自助の意識がないと共助が成り立たない。いつかは地震が起きると一人ひとりに思ってもらいたい。
今回、はじめて被災後間もない避難所運営に深く携わった。これまでも『避難所運営は皆さんがやるんですよ』と地域に向けて言ってきたが、今年はこの経験を伝えていかなくてはならないと強く感じる」(続く)
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