改正個人情報保護法が先ごろ施行され、市内約123万世帯が加入する自治会町内会もその対象になった。今後、大半の自治会町内会で、個人情報の取扱ルール作成や名簿の安全管理などが求められることになり、区内町内会役員らは「改めて理解が必要」と話す。
個人情報保護法は、個人の権利利益の保護と個人情報活用の有用性とのバランスをとるため、2005年4月に施行。15年9月の改正で5千件以下の個人情報を取扱う事業者も対象となり、名簿を持つすべての自治会町内会が同法の適用を受けることになった。
5千人以下の企業やNPOなどは、以前から取扱ルールを設けているところも多いが、市内に2867ある自治会町内会の場合、対応は千差万別だ。そのため市は、必要となる「個人情報取扱ルール」や名簿の「安全管理」などを示した手引きを作成し、全区で説明会を開催。鶴見区でも5月31日に説明会が開かれ、町会長ら約80人が参加した。
横浜市の自治会加入率は約75%で、百万人以上の政令市では仙台市に次ぎ2番目。市によると、取得済みの個人情報は、以前の名簿作成の際に利用目的を伝え、配布の同意が得られていると見なし、改めて同意を得る必要はないと説明する。
一方、新たな加入者には、利用目的の明示と名簿配布の同意を得る必要がある。市は「この機会に個人情報の取扱ルールを明確にし、町内会の活性化につなげてほしい」と話す。
名簿作成慎重に
改正により、情報漏えいには50万円以下の罰金などの罰則が設けられた。役員や班長(組長)も該当するとされており、中区で町内会会長を務める男性は「万が一の場合、誰が責任を取るのか。名簿作成に慎重になってしまう」と漏らす。また、障害や病歴などの配慮すべき情報の取扱いはより厳格化される。要援護者の情報はその対象になる可能性が高く、負担感を懸念する声もある。
鶴見区での説明会では、個人情報の定義や取扱いルールなどに関する質問が出た。区内町会の会長の一人は「名前や住所など、組合せによって個人情報になる、ならないがある。まずは定義の理解が重要」とする。
また、ある会長は、数種類の名簿を管理する自治会において、「運営のために必要な情報は多い。過度に慎重になることで支障が出るのは困る」と懸念する。
「説明要求に備えを」
神奈川県弁護士会・情報問題対策委員会メンバーの中野智昭弁護士は、同法への対応について「必要以上に慌てないこと」としつつも、「個人情報の取扱いについて会員から説明を求められた時に対応できるよう、備えておくことが必要」と指摘している。
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