―区制90周年記念―【連載 最終回】 鶴見90年のあゆみ 「2017年〜2027年」
【温故知新のまち】
古くは江戸時代の東海道沿いに栄えた商いから、高度経済成長を支えた京浜工業地帯の隆盛など、さまざまな歴史の1ページを紡いできた鶴見。6万人ほどだった人口も、約29万人と90年でおよそ5倍となった。市内中心部と都心の間にあるアクセスの良さなどから、人口はさらに増加する予測もあり、まさに「現在進行形のまち」でもある。
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区制90周年を迎えた今年、ハード面も整備が”進行”した。3月、横浜環状道路北線が開通。産業道路と国道1号を結ぶ岸谷生麦線も完成し、多方面への交通利便性向上につながった。遅れている北線の馬場出入口や東名高速までを結ぶ北西線も東京五輪までに完成予定となっている。
9月、鶴見工業高校跡地の利活用が全て決定。東西にある跡地に、特養、有料老人ホーム、看護学校、リハビリ病院、商業施設などが建設される。防災公園として生まれ変わる花月園跡地の整備も進んでおり、間もなく新たな景色がまちに加わる予定だ。
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一方、ソフト面では、鶴見を語る上で避けては通れないのが「祭り」だ。
潮田神社例大祭や蛇も蚊もなどの勇壮なものから、横溝屋敷の七草がゆといった伝統文化に至るまで、各地域に受け継がれる祭りの多さは、ふるさと鶴見で誇れるものの一つかもしれない。10月には、鶴見神社に伝わる、一年の稲作の所作を行う民俗芸能「鶴見の田祭り」の保存会が、伝統文化ポーラ賞の地域賞を受賞。長きにわたり鶴見の土地に受け継がれる伝統に、また一つ栄誉が加わった。
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市内では2番目の多さとなる1万1千人の外国人が住み、関東有数の沖縄タウンがあるといった多様性も、まちの深さを形作る一因となっている。
スポーツや文化の分野に目を向けると、若者の活躍も目立つ。五輪金メダリストの体操・白井健三選手を筆頭に、プロ野球や女子ラグビーなど、出身選手の飛躍に期待がかかる。
区と高校・大学が連携して若者の力をまちづくりに生かす取組も進み、100周年へ向けて舵は切られた。古きを温ね、新しきを知る――温故知新で発展してきた”鶴見”。伝統と人情でこれからも歴史を刻み続ける。
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