あいさつを通じ防犯を呼びかける 坂口 敏朗さん 羽沢南在住 75歳
校門前が私の大切な居場所
○…「おはよう、行っておいで」。神奈川区の西端、羽沢南と保土ケ谷区上星川の境目の小道で、毎朝のように登校中の子どもたちに声をかけている。「学校の外は地域で見守る必要がある」。平成16年に、地域で物騒な話を耳にしたのを機にあいさつ運動を始めた。警察から借りた「防犯」の文字の入った緑の腕章がトレードマーク。取材中も止めどなく持論を展開するアイディアマンだ。
○…あいさつ運動は、上星川小に波及。登校時になると校長先生らが校門前に立ち、児童を迎える光景が見られる。「児童も自作の『のぼり』を掲げて元気にあいさつしています」と目を細める。今では入学式や卒業式にも呼ばれるようになり、子どもたちからは「あいさつのおじさん」として親しまれている。まちで出合った人から「私の顔が分かりますか」と呼び止められることもしばしば。「こうなってくると楽しくてやめられないね」。
○…長野県で生まれ、新潟県で育った。「よく一人で山菜採りに行ったものです」と少年時代を振り返る。海や山、大自然の中でたくましく育った。高校では書道に没頭し、集中力を養った。上京後、結婚。のどかな地を求めて30年前に羽沢のマイホームを購入。娘と孫3人に恵まれた。
○…退職後は、行政への提案活動がライフワーク。提案件数は100便を超えた。特に、平成18年に実現した『羽沢南』の誕生に大きく貢献した。「以前はピザの配達すら断られるほど分かりにくい地域で、住居表示の実現と新町誕生は、地元住民の悲願だった」。160人から聞き取り調査を行い、報告書を作成。役所などに日参し、実現までこぎ着けた。悩みは、街づくりを話し合える仲間が少ないこと。「学校を中心とする街づくり、つながりづくりが大切」という方向性は今後も変わらない。「上星川小の校門前あたりは、大切な私の居場所です」と、今日もあいさつに立つ。
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