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神奈川区版 公開:2013年3月21日 エリアトップへ

連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 【9】聴く力は理解力につながる

公開:2013年3月21日

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 ぼくらの生活は、視覚が中心となり聴覚のすばらしさは忘れがちです。最近、聴覚に関する本が人気なようですが、ぼくが10年前に出会った本『聴覚脳』の原佳年先生の「耳を変えれば人生が変わる」「心は聴覚につながる」という言葉を思い出しました。赤ちゃんの聴覚は五感の中で、1番早くできあがる器官です。専門的ではありますが、イルカと比較して考えてみましょう。

Q いったいどんな音を胎児は聴いて生まれたのでしょうか。

A 胎児は水中聴覚で音を聴いていました。羊水の中で、母親の心臓音や脈などが水圧として響く低音だけでなく、「骨伝導」で伝わる母親の声なども水中聴覚で聴いています。その時に聞こえる周波数が高周波だと言われています。これはイルカの鳴き声に近いものではないでしょうか。ぼくが和歌山県のドルフィン・ベースで行った「イルカ療法」では、発達障害の子どもをイルカと一緒に水の中で遊ばせると、多くの子どもが心を開いて笑います。さらに、イルカの甲高い高周波を聴かせた後に絵を描いてもらうと、イルカと遊ぶ絵や丸い穏やかな海の絵などを表現するのです。高周波を聴くと、多くの人が海や胎内をイメージするようです。聴くことはものの本質と出会うこと。料理をする音、水や風の音。イルカの鳴き声…。「聴く」とは、自分から積極的に耳を澄まして聴くことと、何もしなくても聞こえるものと、2種類あります。子どもの聴く力を育て、心を豊かにするには、静かな環境の中で耳を澄まして聴くことが大切です。そして、「耳を澄ます」には「静けさ」が必要。赤ちゃんや幼児は、まわりの音すべてを取り込んでしまうので、うるさい音や刺激の強い音から子どもを守ってあげたいものです。「聴く力」がつけば、人の話を聴くときにも役立ちます。つまり、「聴く力」は理解力につながるのです。幼児のころから「耳をすます」ことを当たり前にしておけば、他人を理解でき、人の存在そのものに耳を傾けられる大人になるのだと思います。

A 子どもに必要なのは、機械を通しての音ではありません。幼児はまだ、CDなどの機械を通しての音では、ものの質をともなったナマの音が理解できません。だからこそ、お母さんやきょうだいが歌い、楽器を演奏するナマの音を日常で体験することが大切なのです。

【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一

(問)【メール】iwashige@gmail.com】

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