連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉙生きる力を育てるために
ここ数年間の改革政策の結果ともいえる格差社会の広がりが、子どもたちの笑顔に大きな影を落とそうとしています。このような中で、生物学の原則である「個体発生は系統発生を繰り返す」ということから、ママだけの子育ても見直さなければなりません。
前々回でもお話しましたが、現代はとても便利な世の中である反面、ちょっと油断をすると便利さについていけません。日々の暮らしはますます忙しくなっています。そのため、今の社会のペースに合わせて動かなくては、群れから離れてしまい「こうありたい」というような希望や願いが叶わなくなってしまうから「頑張る」のですが、生物である60超個の細胞のからだは大昔のままですから、社会のペースについていけません。そこで人間は、みな疲れてストレスがたまるという事態になります。
たとえば、野生の動物と会えるときは、「会いたい」というような欲や願いがなくなったあきらめの状態のときこそが、なんとなく自然に逢えるのです。欲の自我も解放され、同化しやすくなります。しかし、私たちの世界は他人事のように流行の欲が強いので、なかなかそんな気持ちになれません。自然というものは、私たちに都合よく展開してくれるかどうかわかりません。私ひとりだけの都合や欲に合わせて、相手がやってくるのではありません。
自然気候に押し流されることもあるし、海や野山でいくら待っても現れないこともあるでしょう。それが計らいのない自然の営みです。だから、私たちはそれとうまく融け合っていくしかないのです。静かな海の中は、私たちが生まれて進化してきた母のお腹といわれるほど、神秘性に富んだ安らぎのステーションだと思います。
育児などで疲れたときは、背伸びして大きく腹式呼吸で酸素を胸いっぱい取り入れてゆったり行ってください。きっと、安心してゆっくり深呼吸が必ずできます。そのことは、心理的にも安心感をもたらし、解放感やリラックス感を引き出すことができます。
今年は羊年の年です。「群羊を駆りて猛虎を攻む」というように、ママ一人のみの力では叶わぬような育児も、パパや会社のボスのお力添えがあれば叶えていけると思っております。
今年も、生物学的視点から子育てについて具体的な事例を紹介して、このコラムを読んでくださっている読者のみなさんと一緒に考えてみたいと思っています。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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