連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉝イルカの追い込み漁禁止
日本の水族館がイルカを仕入れる方法を巡り、WAZA(世界動物園水族館協会)から除名を予告されていたJAZA(日本動物園水族館協会)は先月20日、世界協会への残留を決めました。現在、日本には会員施設が153カ所(動物園89、水族館64)があり、その中の34水族館に対して今後、和歌山県太地町の「追い込み漁」で捕獲されたイルカの購入を禁止します。飼育下での人工繁殖促進で対処することになったわけですが、繁殖の取り組みを進める難易度は非常に高く、水族館でイルカのショーを見ることができなくなる可能性があります。
これまでイルカの研究をしてきた私としては、追い込み漁や捕鯨文化を批判するわけではありませんが、日本の水族館は「繁殖のための施設拡充や専門家の導入」「獣医師はじめとするマンパワー育成」など、財政的に負担が大きいために、一頭約100万円の追い込み漁で捕獲したイルカを入手しており、繁殖技術への研究投資努力が不足していたのではないかと思います。私の著書「イルカの学校」で「イルカのお母さんは3人?」と紹介しておりますが、狭いプールでの人工繁殖・子育てはかなり無理があります。その大きな理由は、イルカは人間よりも座礁も子育ても、すべて群れのなかで高次なコミュニケーション能力を発達させて進化してきた動物であるからです。
今回の一件を機に、あらたなハイブリッド型のイルカ観光を取り入れ、野生のイルカの調教と繁殖へのチャンスにすることが良いのではないかと思います。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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