連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㊵イルカの音楽隊
イルカが奏でる音楽は、環境を測るクリックス音、喜びや驚きを現す層状音、仲間との会話のホイッスル音と三つに分けられます。 私は子どもたちとウエットスーツにシュノーケルをくわえて、御蔵島の青い海に出て、白滝の下やボロ沢や元根の中で生まれたばかりの小さなイルカを連れた親子を探そうと約束します。
イルカの群れの水中音は中高音域のオーケストラでからだ中に響き脈打つように海の深さごとに高まり、私たちが近づくと、鋭く甲高い音色に変わり仲間との交信が激しくなっていきます。そして、とうとう遊びの調べを奏でると、深く暗い海の底へと消えていきます。
浮き袋とシュノーケルを頼りに大きな音楽隊をたずね泳ぐひとときの冒険は、どんな子どもも大人も大好きです。彼らは、海に浮かんで目をこらし、じっと待っている間に、海の神秘性と美しさを感じとり、海の世界がいかに生き生きとしているかを知るのです。
イルカたちの音楽を聴くときには、オーケストラ全体の音をとらえようとするよりは、親子なのか、群れなのかの様子を見極めて、ひとつひとつの楽器を聴き分けて、それぞれのイルカのいる場所をつきとめようとするほうが、より楽しめます。
子どもたちはきっと、水中でくりかえされる音色にひかれて自ら泳ぎだすことでしょう。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一(問)iwashige@gmail.com】
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