数年前に神奈川区中丸から北海道七飯町へ移住した芥川賞作家で作詞・作曲家の新井満さん(71)が10月4日、かなっくホールで行われた歌声サークルの催しに特別ゲストとして登場。約300人の観客を前に、ユーモアあふれるトークを交えながら代表作『千の風になって』などの朗読と歌を披露した。
神奈川区は、新井さんが大手広告会社に勤務しながら約30年間にわたり執筆創作活動をしていた思い出の地だ。「子どもたち3人は斎藤分小に通っていたのよ」と講演を会場で見守っていた妻の紀子さん。今回の講演は、近所に住んでいた横浜歌声の会「涼風」の石原裕子代表が、同会の主催するイベントへの出演依頼を続けてきたことが契機となった。
15分で作曲
芥川賞作家の新井さんは2001年、妻をがんで亡くした故郷・新潟市の友人を慰めるため、後に日本レコード大賞(作曲賞)を受賞する『千の風になって』を作った。「北海道の山小屋の中でギター片手に15分ほどで作曲した。詩は、追悼文集の中にあった英詩を和訳した」と代表作にまつわるエピソードを語り、朗読と歌を披露。「死者の分まで元気に生きてあげることが最高の供養だ」と歌に込めたテーマを説明した。
会場では、アイヌ語で「あなたに会えてよかった。あなたの心にそっと触れさせてください」という意味を持つ『イランカラプテ』も披露。幸せとは何かについて【1】健康な体【2】最低限の金【3】健全な心【4】パートナーの存在―の4つを挙げ、観客にメッセージを送った。
「神奈川区に新井さんが住んでいたことを知ってもらえて良かった」と石原会長。現在、駒ケ岳が美しく見える大沼湖畔に住んでいる新井さんは「第二の故郷への恩返しだと思って神奈川区へやってきた。会場の反応が良く楽しかった」と感想を述べた。
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