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新春特別インタビュー 「共感と信頼」の市政めざす 林市長、新年の抱負語る

公開:2011年1月1日

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本紙のインタビューに答える林市長
本紙のインタビューに答える林市長

 2011年の幕明けに当たり、本紙では林文子市長に対し恒例の新春インタビューを行った。林市長は、自身が取り組んだ昨年1年の取り組みを振り返るとともに、市の新しい指針となる『中期4か年計画』や23年度予算などについて、その思いを語った。 (聞き手/本紙・横浜中央支社支社長 熊坂 淳)

APEC成功は財産


――さっそくですが、昨年1年を振り返っての率直な感想をお聞かせ下さい。

林―一言で言えば、大変充実した1年だったと感じています。11月にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の横浜開催を大過なく、成功裡に終えることができました。これは、市民の皆さんのご協力、そして地元関係者の方々が力を合わせたからこそ実現できたことで、この場をお借りして改めて感謝申し上げたいと思います。皆さんの「心の込ったおもてなし」に、世界の要人から賛辞をいただけたことは、横浜にとって大きな財産になったと思っています。

 また、国が進める大規模プロジェクトの獲得に積極的にチャレンジしたことも印象に残っています。その中で、横浜市が「国際コンテナ戦略港湾」と「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として国から選定を受けたことは、横浜経済の成長や活性化にとって大きな成果と思います。

 それから、私が最重点課題の1つとして位置づけている保育所待機児童の解消や、産科・小児科医療の充実などの課題については、市長直轄の特命プロジェクトチームを作り、それらに対応する取り組みをスタートさせることができました。

――就任1周年の本紙インタビューでは、現場訪問の成果も強調されていました。

林―これは大きいですね。現場のナマの声を聞き、実際に自分で見ることで初めて本当の状況が把握できることは非常に多いです。その意味で、そうした現場主義を貫くことと、「おもてなしの行政」を、新しい年も実践していきたいですね。

中期計画を確定

――昨年12月には計画期間が2013年までの『中期4か年計画』を確定しました。

林―これは概ね2025年頃の横浜を展望した「横浜市基本構想」が掲げる目指すべき都市像を実現するための計画で、 ”横浜が持つ魅力や財産、人と人とのつながり”といったものを最大限に活かし、「安心と活力があふれるまち・横浜」を目指そうというものです。それぞれの施策には目指すべき水準を数値目標として示し、企業経営同様、成果を重視しながら進行管理を行っていきます。

 「横浜の未来図」の実現には、計画期間を超えた中長期的”戦略”が必要で、私たちはこれを『横浜版成長戦略』と名付けました。この戦略の最大の狙いは「経済の活性化」と「人々の活力」の好循環を構築することです。

 経済の活性化では、「環境」や「観光」を柱に据え、それらの分野で需要創出や市内企業の技術革新などを図りたいと考えています。同時に、そうした動きを支える様々な基盤づくりにも力を注いでいきます。人々の活力づくりは、地域で暮らす人々がいきいきと活躍できる環境を整えようというもので、子どもたちや女性、高齢者への施策を中心に据えています。

横浜版成長戦略進める

――『中期4か年計画』を踏まえ、23年度予算編成も進んでいます。収支不足200億円という厳しい状況での編成作業になっていますが、どのような基本的姿勢で取り組まれているのかお聞かせ下さい。

林―ご指摘の通り、非常事態ともいうべき厳しい状況下での予算編成となっています。そういう状況ではありますが、「財政の健全化」を着実に進めるという基本原則は堅持しなくてはなりません。横浜市事業評価会議の意見などを反映させ、ムダの排除や事業の効率化を進め、予算に反映していきたいと考えています。

 その上で、先ほどお話しました『中期4か年計画』の実質的初年度として、23年度に実施が不可欠な事業を選択し、優先的に取り組みたいと考えています。逆に、休止や先送りさせる事業も出てきます。こうした「選択と集中」を徹底させます。

 同時に、市が保有する土地の売却や未収債権の回収など、歳入確保に向けた取り組みも推進していきます。

――具体的には、23年度予算の中で、どのような施策を重点的に進めようと。

林―就任以来進めている「保育所待機児童の解消」や「産科・小児科医療、救急医療体制の充実」「きめ細やかな教育の推進」については、当然のことながら引き続き最重要課題として位置づけ、重点的に取り組んでいきます。そのほか、新たな取り組みとしては『中期4か年計画』で打ち出した「横浜版成長戦略」を推進するための各種施策を、全庁のさまざまな組織で一丸となって推進していきます。まずは中期4か年計画の実現に向け、確実にスタートダッシュが切れるようにしたいですね。

――職員向けには「チーム横浜」でこの難局を乗り越えようと言っています。

林―私はこれまで多くの現場を訪問してきていますが、職員たちからはどこへ行っても縦割りの弊害の話が出てきました。厳しい社会情勢の中にあっては、風通しの良い組織で知恵と力を集めなければなりません。国か地方か、民間か行政かに関わりなく、成果をあげているのは組織が一丸となって取り組んでいるところです。そういう意味で、組織の枠を越え、隣のセクションがどういう仕事をして何に困っているのか関心を持ち、悩みや課題・成果を共有しあうことが非常に重要です。こうした部局横断的なチームとしての一体感がなければ、現在の困難な状況を乗り越えることはできません。

 昨年秋からは、こうした取り組みの1つとして、18区の区長と私とのコミュニケーションの機会を充実させることを目的に「電話会議」もスタートさせました。

――今年4月には、「文化観光局」と「財政局」の新設を含む局再編成が行われます。

林―これも『中期4か年計画』を推進するための組織体制ですが、局や区の枠を乗り越えた連携と全庁的な総合調整機能が図れるような組織にしようという視点に立って行うものです。「文化観光局」では、横浜の強みであり財産である文化・芸術のいっそうの振興とその魅力の発信、観光やコンベンションの振興などをどんどん推進し、街づくりの原動力にしていきたいと思っています。

知恵集め明るい年に

――最後に市民の皆さんへ新春のメッセージをお願いいたします。

林―市長就任以来私が目指しているのは「共感と信頼」の市政、「おもてなしの行政サービス」です。市民のみなさん、お一人おひとりが本当に実現して欲しいと願っているその思いを、まずはきちんと受け止めることのできる行政を、今年も目指したいと思っています。

 社会情勢が厳しいからこそ、未来に希望を持てることに取り組むことが大切です。「希望が持てる取り組み」イコール「お金がかかる」というものばかりではないと思います。私をはじめとする経営幹部はもちろんですが、全ての職員の知恵と力を集め、明るい1年となるよう、しっかり頑張っていきます。

 同時に、市民のみなさんにも引き続き様々な場面でお力を貸していただければと思っています。

 今年1年が皆さんにとって健やかで充実した年となりますよう心からお祈り申し上げます。
 

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