地域活性化に取り組む「濱の市」のオーナー 坪倉 良和さん 神奈川在住 60歳
魚屋から日本を変える
○…2009年に大口通商店街にオープンした「魚屋カフェ 濱の市」は、自身が描く魚屋の再生モデルだ。「町の元気を魚屋から」の合言葉どおり、店内は活気に溢れている。特産品をPRしたい全国市町村に、店舗の一部を無料貸し出す企画「タウンセール」。第1弾美郷町、第2弾旧津久井町が好評で、11月12日(土)には第3弾秋田県フェアを行う予定。将来的には商店街の空店舗にアンテナショップを立ち上げる構想を掲げ、「魚屋の減少に歯止めをかけ、商店街の活性化につなげたい」と鼻息は荒い。
○…神奈川区出身。聖光学院中高では柔道部に所属。大学に進学するが学園紛争で授業はなく、築地でアルバイトを始めた。「型崩れしたタラコを上手に成型して商品として販売する。工夫次第でなんとでもなるという商売の面白さを感じました」。大学を中退し、祖父の営む横浜中央卸売市場の水産仲卸「坪倉商店」の手伝いを開始した。
○…祖父の死去に伴い、3年後に代表になった。「初めは競り人が何を言っているかがわからないから、品物すら買えない。同業者に頭を下げて商売のイロハを教えてもらった」。がむしゃらに働き、業績は右肩上がり。事業拡大のため川崎中央卸売市場に共同会社を立ち上げた。ところがこの店で約2億円の負債を負うことになった。
○…当時40歳。救ったのは友人の「人生はこれからだ」という言葉だった。”全ては自分に責任がある”と開き直り、借金は自力で返済した。「逆境のほうが燃える性格。『逆境』『挫折』『失敗』は、神様からのプレゼントだと思って楽しんでいます」。2007年に訪れたイタリアで、何百年も続く養豚やオリーブの生産農家が、街中に素敵な店を経営していることに衝撃を受けた。「『一次産業者や生産者が立派に食えて、販売者が誇りを持てる商店街や街を作ること』これが私に課せられた使命です」。自称「自在人」の挑戦は続く。
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