神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
神奈川区版 公開:2011年12月8日 エリアトップへ

薬剤師から陶芸家に転身し創作活動に励む 土屋 きみゑさん 西神奈川在住 87歳

公開:2011年12月8日

  • LINE
  • hatena

残りの人生、好きに生きる

 ○…「新生堂薬局」の看板が掲げられた店舗兼自宅。中に入ると、どこか懐かしい「昭和」を感じる空間があった。かつてのショーケースや棚には、薬ではなく陶器や磁器がずらりと並ぶ。湯呑や皿、花瓶、どれも可愛らしい挿絵がほどこされている。「陶芸は自己表現。好きに創っているだけ」と微笑みながら、作品一つひとつに対してエピソードを語ってくれた。愛着があるのだろう、いずれも記憶は鮮明だ。

 ○…生家は東神奈川駅前で料亭を営んでいた。幼少の頃は体が弱く、「空気がよい」との理由で学区外の浦島小に通った。夏休みになると、決まって八ヶ岳・渋の湯温泉で静養。当時から絵が好きで、居候していた画家の絵を真似するのが一番の遊びだった。その後、1期生として県立横浜第二高等女学校(現・立野高校)に入学。時は日独伊同盟の真っただ中。「芦ノ湖を描いた絵が、イタリアで飾られたのよ」

 ○…父の勧めで東邦薬科大学に進んだ。最愛の父を亡くしたのは、合格を喜んだ数日後のことだった。戦前、戦中は薬剤師として病院などに勤務。山梨に疎開していたが、横浜大空襲で住居は焼失した。「父は商売の才能があった。職業婦人として独立できたのも父のおかげ」。戦後間もなく薬局を開業。物不足の時代、飛ぶように商品が売れた。

 ○…50歳で鎌倉の陶芸教室に通い始めた。腕前は、いつのまにか趣味の域を超えていた。転機となったのは73歳、交通事故で生死をさまよった時だった。「残りの人生は、好きなことをやろうと決心がついた」。以来14年、陶芸家として歩んできた。当然スランプもあるが、そんな時は、読書や旅行で気分転換する。渡独は2回。現地で知り合った人と10年以上も文通を続けた。ドイツ歌曲をこよなく愛し、山下町のビアホールで歌ったこともある。「死ぬのは怖くない。他界した夫に会えなくてさびしいくらい」とまた笑った。
 

神奈川区版の人物風土記最新6

嶋崎 孝浩さん

4月に神奈川図書館の館長に就任した

嶋崎 孝浩さん

立町在勤 60歳

4月25日

久保田 剛さん

この春から神奈川警察署の署長を務める

久保田 剛さん

神奈川在勤 58歳

4月18日

浅原 誠治さん

4月1日にオープンした多目的アリーナ「横浜BUNTAI」の館長に就任した

浅原 誠治さん

中区在勤 52歳

4月11日

福田 茂さん

4月1日付で神奈川消防団の団長に就任した

福田 茂さん

幸ケ谷在住 65歳

4月4日

小谷野 貴弘さん

南神大寺小学校の創立50周年記念事業実行委員長を務めた

小谷野 貴弘さん

神大寺在住 42歳

3月28日

竹内 一郎さん

能登半島地震の医療災害対策本部DMAT本部長を務めた

竹内 一郎さん

横浜市立大学附属病院勤務 51歳

3月21日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月18日0:00更新

  • 2月29日0:00更新

  • 2月15日0:00更新

神奈川区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

コラム一覧へ

神奈川区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月26日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook