岸根公園などで130回以上もボランティアの紙芝居公演を続けている 杉田 勇さん 菅田町在住 70歳
生きる喜び伝える
○…頭に鉢巻き、手にはアンパンマンの人形。「紙芝居をやりますよ」と、電動車いすに乗って子どもたちに呼びかける。神奈川区に隣接する岸根公園をはじめ、山下公園やケアプラザなどで紙芝居を披露し続けて3年。上演回数は132回に上る。「単に紙芝居をするのではなく『いい思い出になったなあ』と感じてほしいんです」。子どもたちや保護者に喜んでもらえるのが元気の源だ。
○…生後1歳を過ぎても全く歩くことができず、小児まひによって左脚の感覚がないことが分かった。運動や修学旅行に行けず、同級生の思い出話を聞いて涙を流したことも。それでも「自分に負けてはいけない」と勉強を人一倍努力し、進学校へ。2年で高校生活にピリオドを打ったのち、リハビリ施設で左脚の手術やリハビリに取り組んだ。東京・世田谷の郵便局に就職。窓口業務のため体への負担は少なかったが、40歳を過ぎた頃に脊柱管狭窄症を発症。長時間立っているのが難しいため、電動車いすを使い始めた。
○…「私も一緒に盛り上げたい」。横浜開港150周年の2009年、山下公園で紙芝居を始めた。「紙芝居おじさん」は瞬く間に話題になり、100人以上が集まる日も多い。発声練習なども怠らず「分かりやすく・切れ味よく・感じよく」を意識して気持ちが込められた紙芝居に、子ども大人も釘付け。今年は、観客に見えやすいようB4サイズの紙芝居をB3サイズに拡大コピーし、専用の舞台も発注した。
○…30年連れ添ってきた妻と娘の3人で暮らしている。趣味のクラシック音楽は紙芝居のBGMにも活用。現在は、神奈川区の伝説や歴史にまつわるオリジナル作品を制作中。「1作目は浦島伝説の『夜泣き石』でした。今は羽沢にある硯松にちなんだ作品を予定しています」と意気込む。「お年寄りの方にも昔懐かしい紙芝居で楽しんでもらいたい」と次を見据える。
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