捨て犬が聴導犬に 素質見い出され審査合格
横浜市動物愛護センター=菅田町=に保護されていたトイプードルの文(あや)(雌・2歳)がこのほど、同センターで行われた「身体障害者補助犬認定審査会」に合格した。全国でも約40匹しかいない聴導犬として、第二の「犬生」を京都府の飼い主の元で歩むことになった。
文は、2011年12月に迷い犬として動物愛護センターに収容され、新しい飼い主を待っていた。職員によると「とても明るい性格で当センターでも人気者だった」という。翌1月に文を引き取ったのは、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)を総合的に育成している日本補助犬協会=旭区=の代表理事・朴善子さんだ。
朴さんは、同センターが開所した11年4月から定期的に聴導犬の物色に訪れており、これまで約200匹を見てきた。彼女が初めて一目ぼれしたのが文だった。「全身毛むくじゃらで、見るからに捨てられた犬だと思ったが、目の輝きに力を感じた」。知らない人から逃げない、掃除機などの生活音に驚かない――。文は聴導犬としての素質を見い出され、同協会で育成訓練を受けることになった。
それから約1年。身体障害者補助犬法に定められた聴導犬の訓練と京都府の使用予定者との合同訓練を修了した文は、2月24日に同センターで行われた認定審査会に挑み、見事合格した。今後は聴導犬として、玄関チャイムやキッチンタイマーなどの音を伝え、耳の不自由な飼い主の自立と社会参加をサポートしていく。
朴さんは「盲導犬などに比べ、聴導犬は認知されていない。困っている人は多いので、今後も育成を続けていきたい」と話し、現在は2匹目の聴導犬(そなた)のデビューにむけ訓練を続けている。同センターは「保護していた犬が、聴導犬として再出発できて誇らしく思う」と、同センターを経由した聴導犬の誕生を喜んでいた。
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