六角橋商店街の千代田湯で5月17日、若手噺家の実践の場として始められた銭湯寄席が60回の節目を迎えた。この日出演したのは、二つ目の柳家初花さんと桂宮冶さん。地元六角橋をはじめ、老若男女40人以上の常連客らが訪れて落語を楽しんだ。
銭湯寄席が始まったのは2003年7月18日。以来、奇数月の第3金曜日(当初は第2金曜日)に開催し続け、今回で丸10年の第60回を迎えた。毎回訪れている客も多く、この日も会場は開演前から落語談義で盛り上がっていた。仕事帰りの人も訪れ、様々な年代の人で埋まり、中には落語を初めて鑑賞するという人もいた。常連客は時に鋭い視線を飛ばしつつ、会場全体が軽快な噺を楽しんだ。
千代田湯の番頭・開発勝二さん(77)=人物風土記で紹介=は、当時近所の写真店で年2回行われていた寄席がなくなったことで、若手噺家の実践機会が減ってしまうことを危惧。千代田湯で寄席を開くことを決意し、女湯脱衣所を会場として開催し始めた。同寄席は、「二つ目」の噺家6人が交代で各回2人ずつ出演している。
勉強の場として
一般的な寄席では、一つの演目あたり15分程度だが、ここでは1演目約30分を一人2演目ずつ行う。10年前に始まって以来、三遊亭兼好さん、瀧川鯉橋さんの2人が「真打」に昇進した。来年にはもう一人、桂才紫さんも昇進することが決まっている。10年という歳月を経て、「若手噺家の勉強の場になれば嬉しい」という開発さんの思いが形になってきた。
第1回から鑑賞しているという三村昌子さん(82)は「落語家さんはとても努力しているので私も学ぶことがある。ボケ防止にもちょうどいい」と笑顔で話す。三村さんのように、長く通い続けている常連客も多く、「皆さん常連で、間違えるとすぐ気づかれる。緊張感もあって大変ですけど、やりがいがあります」と柳家初花さん。まだ3回目の出演という桂宮冶さんは「先輩たちがここのお客様を育ててくれた。落語をよくわかっている方が多いので、一生懸命やるだけです」と気を引き締めていた。次回開催は7月19日。
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