済生会第1号 神奈川県病院が100周年 16年に新棟オープンへ
社会福祉法人恩賜財団済生会神奈川県病院(吉井宏院長)=神奈川区富家町=は、1913年に済生会第1号の病院として中区根岸町西竹ノ丸(現・麦田町)に開院した。関東大震災や第二次世界大戦など激動の時代を経て、9月1日に開院100周年を迎える。
1911年、明治天皇による済生勅語を受けて創立された恩賜財団済生会。全国に約400の診療所や福祉施設などを持ち、同院はその第1号病院として13年、中区に開院した。10周年を迎えた23年9月1日には関東大震災が発生。現在の西区岡野町へ移転後の45年5月に起きた横浜大空襲で、病棟を全て焼失するという時代をくぐり抜け、49年、現住所である富家町に8診療科、65床で移転開院した。
国道1号線が二手に分かれる位置にあることから、交通外傷を中心とする救急医療のニーズが高い同院。65年には県から受託した交通救急センターが併設され、69年には400床まで増床した。2007年、鶴見区に横浜市東部病院が開院。診療機能の大部分を東部病院が引き継ぎ、同院は150床規模でリハビリテーションや維持透析などを中心とした機能転換を図った。同院で診察した患者を東部病院で治療し、また退院患者のアフターサポートを同院が担うなど、両院での医療連携に努めている。
特に、地域を代表する病院としてこれまで開催してきた市民公開講座では、大腸がんや乳がん、脳卒中などをテーマに講演を行い、区民らの健康を支える上で大きな役割を担ってきた。岡野町の頃から知る区内在住の込宮いと子さん(88)は「地域のお医者さんとしてみんなが通った」と振り返る。
予防医療を強化
100周年を迎え、同院は50年近く使われてきた本館の取り壊し、16年春の新棟オープン計画を発表した。新棟には、専門外来機能やドッグ健康診断を行う予防医療機能を配備。より精密な診断を可能にする医療機器を導入する。また、在宅診療にも力を入れ、東部病院とのさらなる連携強化に取り組む方針だ。
同院を約30年にわたり牽引してきた吉井院長は「地域の住民に育ててもらった病院。機能拡大により患者の負担も軽減できるように取り組みたい」と話している。記念事業として、9月4日にシンポジウム、6日に市民公開講座を開催。吉井院長や医師らによる講演のほか、落語家・林家木久扇師匠による「笑いと健康」をテーマとした講演も行われる。
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