西寺尾在住の島崎桂さん(62)の小説『グッド・オールド・デイズ』がこのほど、福島県いわき市出身の作家・吉野せい(1899年〜1977年)を顕彰する「第37回吉野せい賞」の最高賞に選ばれた。島崎さんは11月2日、故郷であるいわき市役所で行われた授賞式に参加し、執筆活動2年での快挙を喜んだ。
同賞は、いわき市出身のノンフィクション作家・吉野せいの文学業績を記念して、毎年開催されている。同市の出身者や在学・在勤者などが参加できる文学賞で、今年度は48編の応募があった。
最高賞の「せい賞」を受賞した島崎さんの作品(原稿用紙100枚)は、SE(システムエンジニア)として一時代を生き抜いた主人公の入社から退社までを、古き良き時代の回想として重厚に描いた。選考委員からは、「デジタル社会の実態などが良く描かれている」「構成・人物造形がしっかりしていて、文章もなめらかである」などと評価され、セミプロ作家としてのお墨付きも受けた。
授賞式で島崎さんは「名誉あるせい賞を頂き、この上なく嬉しく、光栄に思っています」と述べた。受賞作品は、総合文化誌『うえいぶ』第48号(2015年3月発行予定)に掲載予定となっている。
憧れの吉野せい賞
島崎さんはいわき市出身。読書が好きで、高校では文芸部に所属していた。作家や編集者への憧れはあったものの、その後40年以上も筆を取ることはなかった。就職したのは、ソフトウエア会社だった。SEとして多忙な日々を送り、2年前に退職。時間に余裕ができ、再び執筆活動を始めた。同郷であり、憧れの作家でもある「吉野せい賞」に応募したのは自然の流れだった。今回の作品では、「会社員時代に経験した出来事を織り込んで、私の古き良き時代を創作した」と話す。
次回作については、「大口に住んで約30年になるが、駅周辺は良い意味で変化がなく魅力的だ」と地元をテーマにした作品にも意欲を燃やしている。
|
<PR>
神奈川区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|