西神奈川にある老舗納豆店「中村五郎商店」の中村弘さんが、区内で栽培された大豆を使った商品開発に乗り出した。羽沢町の農家協力のもと、ろう紙と経木で包んだ1950年の創業以来変わらぬ手作りによる”地産地消納豆”の商品化をめざす。
中村さんが三代目として10年前に継いだ同店。川崎市内で銭湯を営んでいた祖父・五郎さんが食品会社から納豆菌について教わったことをきっかけに、六角橋へ引っ越してきたときに開業した。
ろう紙と経木で包んだ昔懐かしい三角形の「おとめ納豆」は、当時から変わらぬ手作りで一日に100個ほどしか製造していない。粘りが強く、食べ応えがあり大豆本来の甘みが味わえるのが特長。区内では、サカタのタネガーデンセンター横浜=桐畑=にある「サカタマルシェ」でしか手に入らず、ネットなどの口コミを通して県内外に根強いファンを持つ。
伝統製法で地産地消
そんな昔ながらの製法で作られたおとめ納豆の魅力を知る友人らが「地元の大豆で納豆を作ってみてほしい」と要望したことから、今回の商品開発は始まった。中村さんは、羽沢で農業を営む平本貴広さんが大豆を生産していることを知り、昨年11月頃に依頼。平本さんも羽沢独自の野菜ブランドを立ち上げるなど地産地消に積極的で、「地産地消を通じて盛り上げたいので、話を聞いて面白そうだと思った」と快諾した。
使用している大豆は、平本さんが枝豆用に栽培している茶豆と掛け合わせたもので、粒が大きく茶豆の長所である香りが強い品種だという。中村さんは年明けから納豆づくりに着手し、15日に試作ができあがった。「うちらしい粘りは出せたけど、かぶり(納豆菌の菌層で粒の表面に付着した白いもの)にムラがあって固さもまばら」と壁に直面したが、一週間後に再び試食してみると豆が柔らかくなり、甘みも出てきた。「熟成がカギのようだ。大豆をさらに研究して、今秋くらいに商品化できれば」と意欲を見せている。
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