白楽に構える古書店で個展などのイベントを仕掛けている 細川 克己さん 西区在住 40歳
「本」通じて「人」つなぐ
○…ガラス戸の向こうをのぞくと木目の棚や椅子に古書が並び、まるで北欧の雑貨店のような空間が見える。「だいたい4000冊弱。ファッション、美術、音楽、国内外の文学書などを置いている」と、奥にある畳の間に座って説明する。2014年に六角橋商店街で古書店「Tweed Books」を開き、昨年7月に白幡身代り地蔵のとなりに移転。陶器店兼ギャラリーだった間取りを生かし、個展や編み物教室などのイベントを次々と仕掛ける。
○…保土ケ谷区出身。「昔から人の目を引きたがる性格」という言葉を裏付けるように、高校では友人とバンドを組み、ドラムを叩いて女子生徒の熱視線を集めた。しかし「中身のない自分がコンプレックスだった」と進路を考えるようになり、ニーチェに魅了されて上智大哲学科に進学。勉学の傍らアルバイト代をすべてレコードに使ってしまい、就職活動をする電車賃すらなく大学院へ。6年間、哲学の勉強に明け暮れた。
○…いよいよ就職した新刊書店で妻と出会い結婚。その後出版社に勤務したが、激務で体調を崩してしまう。そんなとき、ふと谷根千の一箱古本市に参加。「お客さんと語り合い、手から手へと本が渡る体験に”店を構えるのは楽しいだろうな”と感じた」。会社を辞め、縁あって白楽に店を構えた。店内イベントは思いつきだったが、店を訪れた客から「個展を開きたい」と依頼されることも多い。2月には、個展のほか「TATAMI JAZZ」と題して、レコードを流しながら自ら語るイベントも企画している。
○…自分の店を持ち、視野が広がった。「休みの日も、”みんなはどんな本が好きだろう””どんなふうに陳列したらいいだろう”と考えるようになった」。子どものうちから紙に触れる機会を作りたいと、絵本も置くようにした。「本に出会う『ドキドキ』感と『落ち着く』空間を提供できる場にしていきたい」
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