元外交官で国内初の個展を開いている 西山 巖さん 高島台在住 75歳
人生も絵も海外仕込み
○…「最近やっと日本人らしくなってきた」。40年にわたり海外で生活していた影響は、鮮やかで目が覚めるような色使いが印象的な作品にも表れている。ようやく実現した、国内で初めての個展。「ルネ・マグリットが好きなこともあって、非現実的な現実をシュールに描いた作品が多い。そのほかにも、風景画や人物画、抽象画も用意した」と、エプロン姿でにっこりとほほ笑む。
○…地元・山口県の高校を卒業すると、移民としてブラジルへ。農業などを経験後、サンパウロ大学を卒業してパナマ大使館で働いていたが、37歳で外務省の外交官に。30〜40カ国を訪れ、15年前にギリシャで起きた日本人観光客を乗せたバスジャック事件では、現地の警察とともに9時間かけて犯人を説得。全員無事に助け出した。「生きた心地がしなかった」と話す表情が外交官の責任の大きさを物語る。2年前には長年の功績が称えられ、瑞宝双光章を受章している。
○…幼少期から絵を描くことが好きで、赴任先でも休日は風景を描いて過ごした。定年前に帰ってきたブラジルでロシア人画家に師事。現地の美術展で入賞し、サンパウロ総領事館で初の個展を開催した。63歳で帰国・定年退職後、京都造形芸術大学に入学。大学院も修了した。「妻が背中を押してくれたおかげ」と話し、台町にあるアトリエも帰国時に用意してくれたという。これまでに描いた作品は150枚にのぼる。二科展や神奈川県美術展、ハマ展には毎年出展し、何度も入賞する実力を持つ。
○…2人の子どもは結婚し、現在は妻と暮らす。午前中は近所のスポーツクラブで汗を流し、午後に筆を持つのが日課。赴任先で収めた写真を絵にしてきたが、「尽きてしまったのでここ一年は抽象画に挑戦中」と、100号(約160cm)サイズの制作にも意欲をみせる。「絵に込めた物語が見た人に伝わるような作品を作り続けたい」
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