ドキュメント映画オオカミの護符 待望の書籍化 「オイヌさま」信仰のミステリー
宮前区に受け継がれる「オイヌさま」信仰を描いたドキュメント映画『オオカミの護符』(由井英監督)が書籍となって新潮社から刊行された。著者は同作品を手がけた(株)ささらプロダクション(区内土橋)代表でプロデューサーを務めた小倉美恵子さん。「地域を知り、愛着をもつきっかけになれば」と話す。
『オオカミの護符』は2008年に公開され、文化庁映画賞や地球環境映像祭アース・ビジョン賞を受賞したドキュメンタリー映画。
小倉さんが小さいころから気になっていた実家のオオカミが描かれたお札。祖父が「オイヌさま」と親しみを込めて呼んでいたオオカミの護符は、土橋などで受け継がれている御嶽講(みたけこう)という伝統行事で配られている。
映画ではこの護符を小倉さんが実家の土蔵で見つけたことをきっかけに作られた。地域の古老の話に始まり、関東一円へと繋がるオオカミ信仰の謎を、インタビューを重ね丹念に描いた。
同著は映画でたどったオオカミ信仰をめぐる取材の軌跡や、自然を畏れ、敬いながら共生していたかつての人々、そして、それを今も守り続ける人々、また都市化の中で失われる信仰・文化に対する小倉さんの思いが綴られている。
書籍化は映画を見た人たちから寄せられた多数の声で実現した。価格は1500円(税別)。
小倉恵美子さんは1963年区内土橋生まれ。アジア21世紀奨学財団やヒューマンルネッサンス研究所勤務を経て、地元土橋を撮り始めた。06年、民族文化映像研究員の由井英さんとともに(株)ささらプロダクションを立ち上げる。10年には、地元をモチーフにしたドキュメンタリー第2作『うつし世の静寂(しじま)に』を公開した。
問い合わせは(株)ささらプロダクション【電話】044・982・7233まで。
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3月22日