宮前消防署の新署長として区内の安全を守る 庄司 茂さん 川崎区在住 59歳
地域を守る誇れる仕事
○…今年4月、新署長に就任した。「全区民の尊い命を預かっている。責任は重いが、やりがいも大きい」と抱負を語る。柔らかな中にも1本筋の通った口調に人柄がにじむ。2009年から宮前消防署に勤めており前任は同署の副署長。「地理や人間関係に不安がなく仕事を進められるのが有難い」と話す。
○…川崎市生まれ。川崎市育ち。高校と専門学校時代は電気を学んだ。一旦はビルの電気工事を請け負う会社に就職したが、「専門分野を生かせやりがいを感じる」と消防の道を選んだ。「最初は現場仕事でも、ゆくゆくは技術部門に行けたらいいと迷わずこの世界に飛び込んだ」と屈託なく話す。
○…23歳で川崎区の臨港消防署に配属されると、中原や高津、多摩消防署と36年、ひたむきに働いてきた。30代の頃、火災現場を消火中に九死に一生を得たこともあった。倉庫の荷物が崩れて退路を塞がれたのだ。次第に煙が蔓延し空気が薄くなっていく。「もうこれで死ぬのか。家族に申し訳ないと思った」と振り返る。なんとか姿勢を低くしてホースをたどりながら外に出られた時は「なんて空気が美味しいんだろうって思った」。それでも消防を辞めたいと思ったことはなかった。「IT時代と言われているが、人を助けることは人しかできない。泥臭いけれど人と人が向き合えるところが魅力」と話す。1人のわがままも許されない厳しい現場に「署員186人とその家族を預かる身。皆の安全を守るのが自分の役目」と優しい眼差しを鋭くする。
○…妻と2人、川崎区で暮らす。休日は趣味の無線に没頭したり妻のゴルフに同行したり。「ゴルフの帰りに2人で美味しいものを食べるのが楽しみ」と明かす。子どもは2人。ともに父とは異なる職に就いた。「それぞれが好きなことを真剣にすればいい」。何事にも奢り高ぶらず、しかし情熱的に取り組む姿勢に好感が持てる。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
4月19日
4月12日