福島・浪江町の江川さん 宮前の自然で草木染め 公務員宿舎で主婦らに指導
原発事故の影響により区内宮崎台の公務員宿舎で仮住まいする福島県浪江町の染色家・江川アイさん(72)が、宮前で採れた枝葉を使った草木染めの指導を始めた。江川さんは「宮前は緑が豊富。たくさんの自然をここで染めたい」と張り切る。
「自分らしく生きたい」
昨年9月から夫・等(ひとし)さん(75)とともに宮崎台の公務員宿舎で仮住まいする江川さん。地元浪江町は東京電力福島第一原発事故の警戒区域に指定され、事故当初から避難生活を余儀なくされている。
浪江では16年にわたって藍をはじめとした草木染の指導を行ってきた。自宅に開いたアトリエの庭にはアケビや梅、ムラサキなど様々な種類の草木を栽培。近くの野山を歩き、染めの材料となる植物を見つけては試していたという。「草木を染め、人に教えることが自分らしい自分。避難者だからと下を向かずに、前を向いて生活していきたい」。避難生活で各地を転々とする中で、染色仲間や生徒など多くの人から励ましや協力を受けた。江川さんは「草木染のおかげで自分は救われている」と感じている。
宮前に移ってきた昨秋、自然の多さに感心したという。さっそく、桜の落ち葉を使ってストールを染めた。他にも梅やザクロなどを試し、4月には自宅裏にある15平方メートルほどの花壇に、宇都宮に住む仲間から譲ってもらった藍の種を蒔いた。公務員宿舎を所管する財務省の横浜事務所に集会室の使用を自ら掛け合い、8月11日には、育てた藍で生葉染め教室を開いた。当日は避難先で知り合った知人の友人や地元宮崎台の主婦ら10人が参加した。「作業の合間のおしゃべりなど、本当に楽しい時間でした」と振り返る江川さん。
入居期限は2014年10月まで。その後の行き先は決まっていないが、放射能の影響もあり、「自宅に戻るのは無理だろう」と話す。「事故前の生活に戻るのはあきらめている。けれど、前と同じ自分でいるために、草木染を続けていきたい」
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4月12日