川崎市消防局 ドクターカーを試行運用 日医大武蔵小杉病院と連携
川崎市消防局は、日本医科大学武蔵小杉病院(黒川顯院長)と連携し、医師が直接救急現場にかけつけるドクターカーの試行運用を市内で初めて開始した。傷病者の救命率向上を目指す。
一般の救急車は、生命危機に陥っている傷病者を救急現場から病院まで搬送することを目的とし、搭乗する救急救命士による処置しかできない。そのため、搬送中に病状が悪化したり死亡したりするケースもあるという。しかし、ドクターカーは医療器具などを搭載し、医師が救急現場にかけつけ処置を行うことができるため、救命率の向上が期待されている。
これまで川崎市では、現場に医師を派遣する必要があった場合、日医大武蔵小杉病院、市立川崎病院、聖マリアンナ医科大学病院の3院の救命救急センターと連携を図ってきた。しかし「大型工具等に身体が挟まり動けない」など傷病者を病院まで搬送できないことが前提で、実際の派遣は年に数回程度だった。また既に救急患者がいた場合などは、迅速な派遣が難しいケースもあったという。
このドクターカーは医師や看護師、救急救命士が待機し、市消防局や救急車からの要請があった場合、直ちに現場に急行できる。
出場3件 早くも成果
導入のきっかけは、同病院から市消防局への提案から。日本医科大学付属は3病院で既にドクターカーの運用実績があり、武蔵小杉病院でも必要性を感じていたという。試行期間は8月10日から約半年間で、その後課題などを検証し本格運用を目指すとしている。
試行開始から約2週間経った8月25日現在、ドクターカーが出場したのは3回。高齢者が餅を喉に詰まらせ窒息死の危機が迫る中、ドクターカーが出場し一命を取りとめたというケースもあったという。
日医大武蔵小杉病院救命救急センター長の松田潔氏は「救命には医師が早く処置をすることが何よりも大切。最近は高層マンションも増え、タンカに患者を乗せエレベーターを利用するのにもかなりの時間を要することがある。その場合、医師が現場で処置できれば救命率は高まる」と話す。
市消防局では「市民の皆さんは、現場に医師がきても慌てずに協力してほしい。救急車もこれまで通り迅速に対応し上手く連携を図っていきたい」としている。
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