混声合唱団「樹林」の常任指揮者で声楽家・合唱指揮者として活躍する 辻 秀幸さん 多摩区在住 54歳
音楽は全てにつながっている
○…樹林の創立は1985年。四半世紀を経て、団は円熟期を迎えている。5月12日のミューザ川崎での定期演奏会にむけ、指導にも熱が入る。総勢110人で歌うのはバッハの声楽曲の集大成「ミサ曲ロ短調」。「決して簡単な曲ではないが、合唱そのもののレベルは高い」と、団員とともに難曲に挑む。その独特の指導は、ユーモアを交えながら時に厳しく、次第に熱を帯びる。「きつい言い方をする時もあるけれど、指導者だから偉いわけではない。団員へのリスペクトはなくさないですね」
〇…長身で貫録ある体格と響き渡る声。合唱指揮者だった父の影響で音楽家の道をめざし、東京芸術大学声楽家、大学院独唱科へと進んだ。そこで出会ったのがバッハのキリスト教音楽。「理詰めでありながら、包容力があるのが魅力」。プロとして数々のコンサートやオペラの舞台に出演し、その表現力と歌唱が絶賛された。宗教音楽の歌い手として、また指揮者としても注目を浴びている。「年齢を気にせず、幾つになってもできるのが合唱の魅力。声帯と横隔膜は歌い重ねることで、さらなる音域を得ることができる」
〇…東日本大震災以降は、音楽による被災地支援にも積極的に取り組み、今月20日には、指導する東京近郊の主婦5団体と仙台市の団体が参加した「被災地おかあさんコーラス活動支援コンサート」を都内で開いた。樹林の団員たちにも「大きな災害があった中で、自分たちが歌えることに感謝して、それを合唱に込めてほしい」と伝える。そしてそれは自らも同じ。常に感謝と謙虚さを忘れず、すべてを音楽とともに歩む。
○…妻はソプラノ歌手の佐竹由美さん。弟ふたりもピアニストと声楽家で、それぞれの妻も音楽家という音楽一家。佐竹さんは「樹林」の定演にもソリストとして参加する。「すべてが音楽の糧になる。無駄なことは何もないですよ」と、真摯(しんし)な眼差しで語った。
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3月22日
3月15日