市政報告Vol.10 大規模災害の教訓を生かした「受援計画」の早期策定を 川崎市議会議員 矢沢たかお
川崎市の平成29年度予算案を審査する市議会第1回定例会が3月17日に閉会し、予算が可決されました。今回は私が予算審査特別委員会で行った質問の中から「受援体制」について取り上げたいと思います。
より現実的な受援体制の構築を
熊本地震の際に救援物資が全国から届くも各避難所には的確に届かない、ということが注目されました。川崎市内には4カ所の救援物資の集積拠点(宮前区内では北部市場)があり、避難所は市内全体で175カ所あります。川崎市ではどのように、届く物資の管理を行い、各避難所からの要請に対応するのでしょうか。実は川崎市が有する総合防災情報システムには、平常時の備蓄物資管理から災害時の救援物資の管理、避難所からの物資要請等を一括して管理できる機能があります。しかし、現状ではシステムの機能を使っておらず物資の管理は表計算ソフトで行われていました。「なぜ本機能を使ってこなかったのか」の問いに、市は「物資管理に必要な管理項目が不足しており、表計算ソフトを利用してきた」との答弁。一方で、平成27年度の外部監査からの指摘を受け、システムと表計算ソフトの「両方」を使って管理するように運用を変えています。現場では機能的に不十分という理由で使わなかった機能を、外部監査の指摘があったからとはいえ無理に使うような対応は、データが二重管理となる点を含め、災害時の運用には不安が残ります。混乱する現場、各避難所からの物資要請、大量に出入りする各地からの救援物資など…管理は現実的に難しいと考えます。システム頼みにせず、現場で柔軟に対応できる体制の構築と、他自治体でも進む受援計画の早期対策を強く要望いたしました。
備蓄計画改定案について
また、川崎市では現在、備蓄計画の改定を進めています。計画では備蓄倉庫に配置する物資の数などを定めています。備蓄される公的備蓄物資には限りがあり、宮前区内は区民約22万人に対して公的備蓄物資交付対象者数は約1万2千人のみ。公的備蓄物資は緊急性があり、家屋が全壊、焼失などで避難所生活を余儀なくされた市民が、災害発生から救援物資が到着するまでの約3日間耐え忍ぶ為のものとされています。他県等からの救援物資が届く日数を考えると、各家庭で最低3日間分(推奨7日間分)の食料、生活必需品を備えておく必要があります。先の受援体制も大事ですが、自助・共助が基本。大地震の教訓を忘れることなく、地域防災力の強化に努めていかなければなりません。
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4月19日
4月12日