影向寺重要文化財・史跡保存会会長として長年尽力する 小泉 一郎さん 宮前区野川在住 87歳
地道な活動で「国宝復活」目指す
○…2015年に市内初の国史跡に指定された橘樹官衙遺跡群。その一部に含まれる影向寺の文化財を、宮前・高津区の約250人の会員が所属する「影向寺重文・史跡保存会」が大切に守ってきた。地道な活動が実り、昨年には会が市文化賞を受賞。同寺の木造薬師如来両脇侍像(国指定重要文化財)の国宝復活を願う保存会として「大きく一歩前進した。地域の皆様、関係者の方々のおかげ」と晴れやかな笑顔を見せる。
○…約60年続く保存会の会長を先代から引き継いだのは6年前。「会長を受けるからには」と目標に掲げたのが文化財の「国宝復活」だった。取材中、度々口にするその言葉には決意がにじむ。署名活動を続けて3年、今では3千人近くの協力が得られた。「大切なのはこれだけ貴重な文化財が地元にあることを知ってもらうこと」と熱が入る。「影向寺は『市民の宝』。地域一丸で大切に守っていきたい」
○…野川生まれ、野川育ち。現在の宮前・高津区にまたがる「橘樹群宮前村」時代など、当時を懐かしげに振り返る姿からは「地元愛」が強く感じられる。終戦後すぐ、農家の息子として17歳で父親の跡を継いだ。「最初は嫌だった」と苦笑いするが、何か一つ極めたいと「人参」に目をつけた。20年かけて改良を重ねた人参は「小泉冬越五寸」として全国の品評会で優勝。「いま、世間に出回っている人参にはこの品種の血が入ってるんだよ」と少し自慢げ。農協の役員を歴任後、1973年には県会議員に。3期務めあげ、その後はJAセレサ川崎の初代組合長として長年、地域のために動いてきた。
○…今後は次世代にバトンを渡す意向だが、目標は変わらない。大切にする言葉は「無用の用」。無駄を無駄とせず、何事も大切な動きとして丁寧に地道に活動するのがモットーだ。「国宝復活までの道のりは長いが、一歩一歩進んでいきたい」と今後も方法を模索しながら夢を追う。
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4月19日
4月12日